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<オルレを歩く>済州島からの報告(下)支え合う/道手作り地域に恩恵

コースを運営管理する済州オルレの本部。地域支援事業にも取り組む=13日、韓国・西帰浦市

 韓国・済州(チェジュ)島内に26あるオルレコースの中で、人気の高い西帰浦(ソギッポ)市の第7コース(17.6キロ)。利用者に愛され、オルレの理念を象徴する道がコース内にある。
 「スボン路」。オルレが始まった当初、ヤギが通るのを見て支援者がシャベルとつるはしを手に道や階段を造り、人が通れるようにしたという。感謝の意を込め支援者の名前を冠した。
 オルレの小道には、私有地も数多くある。地元住民が通行を許可し、トイレを貸し出す。道の修繕や管理も手伝う。「ハルマン(おばあちゃん)宿」と名付けられた民宿が道沿いに8カ所あり、高齢者が暮らす家の部屋を訪れた利用者に提供している。
 済州島のオルレは約1000人のボランティア、約1500人の後援者、約100の集落、約10社の企業に支えられている。
 コースの管理運営を担う社団法人「済州オルレ」の年間運営費約1億5000万円は、利用者や企業などからの寄付で賄われる。理事長の徐(ソ)明(ミョン)淑(スク)さん(60)は「地域住民をはじめ、多くの人たちの理解と協力がなければオルレは成り立たない」と語る。
 支援する側と運営する側の関係性は双方向だ。地元の市場をコースに組み込み、利用客の恩恵を受けられるようにした。コース内の「オルレ毎日市場」は国内約1600カ所の市場の中でも客数、売り上げともにトップクラスだ。
 済州オルレは、地元の女性と島に嫁いできた外国人女性による人形工房組合も運営。オルレ関連グッズを生産し、女性に働く場を提供する。地域資源を掘り起こし、商品化する事業も地元住民と一緒に進める。
 さまざまな人たちの手で造られた小道が、景勝地をつなぎ、人と人を結び付ける。オルレが築いた地域交流の輪は海を越え、日本にも広がりを見せる。
 10月に気仙沼、東松島両市で始まる「宮城オルレ」。4月に両市のコースを視察した済州オルレ常任理事の安殷周(アンウンジュ)さん(48)は「観光地では分からない、本当の日本、東北の文化や生活様式が見えるコースだ」と評価した。
 「済州オルレは民間から始まったが、宮城オルレは行政が主導した。地域住民にどう協力してもらえるかが成功の鍵を握る」と指摘。「済州の人が宮城を歩く。宮城の人が済州を訪れる。互いに行き来することで新たな交流が生まれる」と次のステージを見据える。


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2018年09月24日月曜日


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