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<被災地 最後の一人まで>伴走型支援の今 情報提供の仕組みを

うと・あきひろ 1973年鹿児島県生まれ。2005年仙台弁護士会入り。同弁護士会災害復興支援特別委員会副委員長を経て、18年に委員長。日弁連災害復興支援委員会副委員長も務める

 災害ケースマネジメントについて仙台弁護士会は今年2月、国に法制化を求める提言書を発表した。東日本大震災で損壊した住宅で暮らす在宅被災者の調査結果が土台になった。仙台弁護士会災害復興支援特別委員会で委員長を務める宇都彰浩弁護士(45)に、災害ケースマネジメントの意義を聞いた。(聞き手は石巻総局・氏家清志)

◎仙台弁護士会災害復興支援特別委員会・宇都彰浩委員長に聞く

<満足度高い>
 −提言の背景は何か。
 「仙台弁護士会で2015〜17年、石巻市などの在宅被災者563世帯を調査し、生活再建に至らない被災者が多いことが分かった。支援制度は多くあったが被災者に十分な情報がなかったり、情報はあってもうまく判断できなかったりするケースが多かった」

 −何が欠けていたのか。
 「自分が使える支援制度や収入などに応じた再建方法を選ぶには、助言する支援者や専門家が必要だ。一人一人の被災状況に応じた生活再建の支援制度をパッケージ化して情報提供する仕組みが重要になる」

 −災害ケースマネジメントはどう実践されたか。
 「12年、気仙沼市唐桑町只越地区の防災集団移転事業の支援に関わった。対象の約20世帯全てを個別にヒアリングし、家族構成や収入、住居の希望を聞いた上で必要な費用などを説明した。被災者は自分の置かれた状況を客観的に理解でき、ほぼ全世帯が最初の方針通りに再建した。手間がかかるが、結果的に早く生活再建ができる。何より被災者の満足度が高い」

 −仙台市が12年度に実施した全仮設住宅の訪問調査と伴走型支援が災害ケースマネジメントの好例となっている。
 「仙台市は外部の関係団体をうまく活用した。戸別訪問はシルバー人材センターを利用し、仮設住宅で発生した法的問題は弁護士会の外部委員に電話で問い合わせができる体制を整えた。調査で分類した深刻な世帯は迅速に福祉部門につなげた」

<国から補填>
 −国に災害ケースマネジメントの法制化を求める理由は。
 「災害が起きたとき、被災自治体に『災害ケースマネジメントをやれ』と言ってもできない。お金と人が必要だ。国の責任で被災自治体が取り組めるよう法制化しないといけない」
 「新たな法律を作るのが難しければ、激甚災害法に困窮者自立支援を書き加えればいい。激甚災害に指定されたとき、自動的に自治体負担分が国から補填(ほてん)され、生活再建支援員らの人件費などに使える。今の激甚法は大半がハード事業で、ソフト事業に関することは何も入っていない」

 −今後のあるべき被災者支援制度のあり方は。
 「今は被災者が申請しないと制度が使えない申請主義。それを変えない限り、救われない人はたくさん出る。障害者や認知症患者、高齢者はなお難しい。手間がかかっても個別に意向を確認する仕組みが必要だ」

[激甚災害法]被災自治体の財政負担の軽減が必要と認められる災害を、政府が激甚災害法に基づき「激甚災害」と指定する。道路や河川などの公共土木施設や農地の復旧事業に対する復旧事業の国庫補助率が1〜2割程度、引き上げられる。


2018年09月25日火曜日


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