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<どうする みやぎの学力>(1)危機感/相次ぐ対策 成果は出ず

公開授業後、小中学校の教諭らが改善点を話し合った検討会。学校現場で学力向上の模索が続く=亘理町高屋小

 宮城県内小中学生の学力低迷が深刻だ。2018年度全国学力テストの結果では、仙台市を除く県平均正答率が小学6年の全5科目で全国最下位。中学3年の5科目も30〜40位台に沈んだ。仙台市、大河原町などは好成績を上げ、地域間格差も目立つ。学力向上を模索する教育現場の現状と課題を探った。
(報道部・小沢一成、吉田尚史)

<全国との差拡大>
 「危機感を持って指導してほしい」。18年度全国学力テストで小学国語の問題作成などを担当した国立教育政策研究所の伊坂尚子学力調査官の言葉に、会場が静まり返った。
 県内の小中学校教諭約400人を対象に、県教委が12日、県庁で開いた研修会。講師の伊坂氏は主語と述語の関係を問う国語Aの設問で、県平均正答率が、低水準にとどまった全国平均をさらに10.8ポイント下回ったことを指摘。「書いたら読み返す習慣を付けてほしい」と苦言を呈した。
 18年度学力テストで、仙台市を除く県平均正答率は小中学校の全10科目で全国を1〜5ポイント下回った。特に小学校は国語Aと算数A、Bで全国との差が17年度より広がり、県教委も「大きな危機感を持っている」(奥山勉義務教育課長)と言わざるを得なかった。

<提言浸透 道半ば>
 一時は改善傾向にあった県内の学力が一転、ほとんどの教科で全国を下回ったのが13年。県教委は学力向上を目指し(1)子どもを褒めて認める(2)授業の狙いを明確にする(3)家庭学習の時間を確保する−など五つの緊急提言をまとめた。
 学力テストの結果を分析し、効果的な指導法を解説した報告書を各校に配布。全国との差が大きい算数・数学に特化した指導事例集「ステップ・アップ5」をまとめるなど、次々と対策を打ち出した。
 学力テストと同時に実施された18年度学習状況調査によると、家庭で予習、復習する県内の小中学生の割合は全国平均より10ポイント以上高い。ただ、家庭学習の量や質、取り組み方に課題があるとみる向きは多い。
 提言に盛り込まれた「褒めて認める」という点で、教員が実践していると認識していても、児童生徒はそう受け止めていない実態も浮かんだ。現場への提言の浸透は道半ば。目に見える成果は表れていない。

<小中連携に期待>
 学力向上の鍵として県教委は小中連携に注目する。連携に取り組む県内の小中学校の割合は、全国平均より約10〜20ポイント低い状況が続く。義務教育9年間を一貫して指導する体制の構築が喫緊の課題となっている。
 県教委が小中連携推進を目的に18年度始めた事業の一環で、亘理町高屋小(児童50人)で10日、4年生算数の公開授業があった。町内の小中学校教諭ら約30人が見学。終了後に改善点を話し合った。町教委は「小学校の基礎的な学習が中学校につながる。指導の継続性を大切にして学力向上を図りたい」と期待する。
 学力テストの県平均正答率を全国平均に引き上げるのが県教委の当面の目標だ。奥山課長は「学力向上は学校教育の根幹。市町村教委と一緒に課題を掘り下げ、対策を講じる。いつまでもこのままでいいとは思っていない」と強調する。


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2018年09月29日土曜日


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