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名取・閖上のランドマーク 佐々直、旧工場解体へ

解体方針が決まった佐々直の旧本店工場。右は宮城県名取市が建立した慰霊碑

 宮城県名取市の笹かまぼこ製造販売の佐々直が、東日本大震災で被災した同市閖上地区の旧本店工場を解体する方針を固めたことが29日、分かった。周辺の復興工事の進展も考慮して判断した。上部の機械室壁面の看板とともに、ランドマークとして親しまれた建屋。地区の産業の象徴として市も一時保存する考えを示したが、市民などの異論で断念していた。
 旧本店工場は鉄筋コンクリート2階。1975年に完成した。地区が見渡せる日和山(6.3メートル)の南側にあり、市が建立した慰霊碑に隣接する。津波で敷地内の多くの施設が被災。今も残る建屋も1階部分は大破したが、看板や外壁などは流失しなかった。
 建屋と看板は地元住民らにとって「明治期からかまぼこを生産してきた産業の象徴」でもあった。地区の復旧・復興工事で一帯がさら地になる中でも残っていたことから、震災前を思い起こさせる建造物として見学に訪れる人も多かった。
 社長の佐々木直哉さん(72)は震災時、高さ約5メートルの2階部分にいて難を逃れた。「いろいろな思い出が詰まっているし、自分の命を救ってくれた建物。名残惜しいが仕方がない」と話す。創業記念日の10月11日以降に取り壊すという。
 佐々直は現在、名取市内の店舗を拠点に仙台などで営業を展開している。
 旧本店工場を巡っては名取市が2014年9月、震災遺構として保存する計画を市議会に提示。選定経過への疑問などから議会や市民に再考を促され、15年6月、白紙撤回した。敷地は今後、市が間もなく造成に入る震災メモリアル公園の一部となる。


2018年09月30日日曜日


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