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<どうする みやぎの学力>(2)手応え/苦手分野 集中的に改善

仙台市独自の学力検査で判明した小学理科の苦手分野改善に向け、モデル授業づくりを進める教諭ら

 宮城県内小中学生の学力低迷が深刻だ。2018年度全国学力テストの結果では、仙台市を除く県平均正答率が小学6年の全5科目で全国最下位。中学3年の5科目も30〜40位台に沈んだ。仙台市、大河原町などは好成績を上げ、地域間格差も目立つ。学力向上を模索する教育現場の現状と課題を探った。
(報道部・小沢一成、吉田尚史)

<丁寧にフォロー>
 デジタルカメラなどを手にした教諭ら10人が実験の様子を熱心にのぞき込む。
 流れる水が土を堆積させる作用を教える実験。団子状の土に水を垂らすとどう溶け、流されるか。「粒子の大きさが異なる砂や土を使えば、子どもたちがゆっくりと観察できるはずだ」などと意見を出し合った。
 25日、仙台市教育センターであった市教委の「確かな学力研修委員会」。市立小中学校教諭と宮城教育大の教員ら計100人が科目別に集まり、児童生徒の理解力を高めるモデル授業づくりを議論した。
 市教委が毎年4月、小学3年〜中学3年を対象に独自に実施する標準学力検査で判明した弱点を集中的に改善させる取り組み。全国学力テストで好成績をたたき出す原動力の柱だ。
 2018年度の全国学力テストで仙台市は、中学5科目の平均正答率が政令市20市で1位。小学校は全国平均と比べて理科が1ポイント上回り、国語Aと算数A、Bが同等だった。
 市教委の春日文隆学びの連携推進室長は「標準学力検査で見えた苦手分野や、つまずきを丁寧に手当てし、次の学年に積み残さないようにしている成果が表れた」と分析する。

<生きた指導重視>
 独自の学力検査を基にした指導改善策を冊子にまとめるだけではなく、生きた指導に反映することを重視する。授業づくりは研修委の小中9科目の部会が担当。「提案授業」として公開し、教員の指導力を磨く。
 冒頭の実験を行った市八木山小の高橋紀彦教諭(45)は11月、流れる水の働きをテーマに小学理科の提案授業をする。部会のメンバーとアイデアを出し合い、授業づくりを進める。「指導法を振り返り、見落としていた点などに気付く機会になった」と実感を込める。
 研修委委員長の児玉忠宮教大教授(国語教育学)は小中と大学の連携効果を強調する。「最新の指導方法に関する知見を大学が提示し、教育現場が具体化して提案授業につなげている」と説明。「今後は中位から下位層の学力の底上げや、若手教員の授業力向上も研修委の大きな仕事だ」と課題を挙げる。

<「PDCA」効果>
 全国学力テストでトップ級の成績を維持し、県教委が学力向上の成功例と位置付ける大河原町。小学校全5科目の平均正答率は全国5位以内の高水準だった。
 仙台市と同じく独自の学力テストを行い、授業計画にフィードバックする。小学1年〜中学3年を対象にした年2回(小学1年は12月のみ)のテストを基に、計画・実施・評価・改善の「PDCAサイクル」を回す。「達成度を確認し、次年度に課題を持ち越さない」(町教委)のが狙いだ。
 読解力向上のための暗唱副読本の活用など多角的に学力向上を図る。斎一志町教育長は「年2回のテストを続け、徐々に力が付いてきた。手法に変化を加えながら、子どもが楽しんで学べるような取り組みを進めたい」と展望を語る。


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2018年09月30日日曜日


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