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<福島知事選 課題の現場>避難者の困窮 深刻、ストレスで浪費 賠償金使い果たした例も

福島県社会福祉協議会が開催した会議。県内の生活支援相談員らが避難者の生活困窮の実態などを報告した=7月中旬、福島市

 病気がちで仕事に就けないままゲームセンターに入り浸り、クレーンゲームに明け暮れた。つり上げた縫いぐるみは50体。1人暮らしの室内に散乱した状態となった。

<「刑務所の方まし」>
 福島県浜通り出身の60代男性の例という。東京電力福島第1原発事故で避難生活を続けている。ゲームに費やしたのは東電からの賠償金だ。
 「長引く避難生活、仕事に就けないストレスから、浪費を繰り返す避難者は少なくない。賠償金を使い果たした世帯もある」
 この男性の見守り活動に当たる社会福祉協議会の幹部は説明する。
 生活に困窮する世帯が県内で増えている。県によると、生活保護受給世帯数の年度別の月平均はグラフの通り。賠償金の影響などもあり、いったん減少したが、2014年度以降は増加。18年度(7月速報)は1万3765世帯で、原発事故直後の11年度(1万3667世帯)を上回った。
 生活苦に陥り、事件を起こした例もある。強盗未遂容疑で逮捕された30代の男は、県内の社協が支援してきた原発事故の避難者だった。
 「仕事はあったが、ギャンブルにお金を費やしていたよう。賠償金をどう使えばいいか分からず、生活が追い詰められた人が目立ち始めている」と社協幹部。生活苦から抜け出せず「3食を食べられる刑務所に入った方がましだ」と投げやりになる避難者の話も耳にしたという。

<「無職」が約2倍に>
 状況は厳しさを増している。内閣府の原子力被災者生活支援チームが県沿岸部など12市町村の約3万6000世帯を対象に実施した本年度のアンケートでは、現在の職業について「無職」との回答が43.8%に上り、事故前の22.6%から大幅にアップした。
 被災世帯の生活実態に詳しい福島大の清水晶紀准教授は「前を向けているかどうか、被災者に格差が生じている」と説明。ストレスからギャンブルなどに走り、生活苦に陥る連鎖に「災害がなければ貧困と無縁だった層が取り込まれている」と指摘する。
 被災者の自立支援は重要性が高まっている。知事選(10月11日告示、28日投開票)後の4年間には国の復興・創生期間が終了する。住民税の減免といった被災者負担の軽減措置の行方も不透明だ。
 「今後は避難者の生活が一段と苦しくなる恐れがある。支援の在り方を考え直す時期に来ている」。県社協の担当者は焦りを募らせる。(福島総局・柴崎吉敬)


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2018年09月30日日曜日


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