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<地デジ>東北山間部 住民共同建築の設備が老朽化 国の支援なく費用負担に悲鳴

落雷で故障した電波増幅器。一部世帯でテレビが視聴できなくなり、復旧に多額の費用がかかった=宮城県栗原市

 東北の山間部で、地上デジタル放送(地デジ)への不満が噴出している。住民が共同で建設した受信施設が老朽化するなどし、多額の地元負担が生じるケースがあるためだ。全域でアナログ放送から完全移行して6年余り。国の支援も望みは薄く、住民からは「アナログのままでよかった」とのため息が漏れる。

 「インターネット未加入世帯が多い集落にとってテレビは大事な情報源。人口が減る中、どうすればいいのか」。栗原市花山草木沢角間地区の建築業金野秀一さん(66)は肩を落とす。
 同地区では2010年7月、電波が入りにくい山あいに共同アンテナを建設するため、14戸で「共聴組合」を設立。1世帯当たり3万円の負担金と国の補助で設備費用などを賄った。
 だが今年8月、地区内の電柱に設置した電波増幅器が落雷で破損。12戸で視聴できなくなった。3日後に一部回復したものの、全戸復旧には計200万円以上の経費が必要になった。
 ケーブルの耐用年数が残り6年弱であることも判明。更新費用は数百万円と見込まれるが行政の補助はない。住民で負担するのは難しいという。
 同地区がある小豆畑行政区で区長を務めた菅原一之さん(69)は「インターネット回線を引く方法もあるが、高齢者は月々の維持費や加入の手間を嫌う。災害情報を把握するため、視聴できない事態は避けたい。国は何か対策を講じてほしい」と訴える。
 維持管理を巡る不満は栗原にとどまらない。
 横手市西部の山間部にある大森町坂部地区。39戸でつくる共聴組合は本年度、老朽化したケーブルを光ファイバーに切り替える大規模工事を予定する。約300万円の費用は10年以上前からの積立金で捻出した。
 共聴組合の高橋征徳組合長(61)は「1人暮らしの高齢者が増える中、加入世帯が減っていく可能性が高い。次の改修時の負担を考えると頭が痛い」と嘆く。
 東北総合通信局によると、10年3月時点で東北の山間部などで受信対策が必要だったのは約1300地点。かなりの数の共聴組合が発足したとみられる。各地から維持管理費に関する要望が上がっているとされるが、通信局の担当者は「地デジは受益者負担が原則。国として救済措置を講じるのは難しい」と話している。


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2018年09月30日日曜日


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