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<どうする みやぎの学力>(3)試行錯誤/地域差埋める工夫 次々

算数の補充授業で児童を指導する伊藤校長(左端)。学校を挙げて基礎学力の定着に取り組んでいる=9月18日、東松島市赤井小

 宮城県内小中学生の学力低迷が深刻だ。2018年度全国学力テストの結果では、仙台市を除く県平均正答率が小学6年の全5科目で全国最下位。中学3年の5科目も30〜40位台に沈んだ。仙台市、大河原町などは好成績を上げ、地域間格差も目立つ。学力向上を模索する教育現場の現状と課題を探った。
(報道部・小沢一成、吉田尚史)

<夏休み4日短縮>
 東松島市は今年、市内の小中学校全11校で夏休みを4日間短縮した。ここ数年、全国学力テストの平均正答率が小中とも大半の科目で全国、県の平均を下回る状況が続き「目に見える形で学力向上を目指す」(市教委)と踏み切った。
 「全体の授業時間に余裕が生まれ、減るかもしれなかった『スキル・アップ・タイム(SUT)』の時間をしっかり確保できた」。市赤井小(児童166人)の伊藤宏校長は強調する。
 SUTは同小が2015年度から全学年で週1回続ける算数の補充授業。担任だけでなく、校長や教務主任、他学年の教諭らも教室に入り、計算問題の丸付けをしたり児童の質問に答えたりする。
 18年度は3〜6年生で外国語活動が年15時間増えるなど各校とも時間割のやりくりに苦慮する中、同市の公立校は夏休み短縮などにより、年間で最大30時間の授業時間が生まれた。
 市教委学校教育課の熱海良彦課長は「ゆとりある教育課程を編成し、丁寧な指導ができるようになった。教員の教材研究の時間もでき、授業の改善につながる」と効果を期待する。

<平均以下8割も>
 県内では小中学生の学力の地域差が際立つ。県教委などによると、17年度の学力テストで全国平均を下回った市町村は、最多の中学数学A、Bで8割の28自治体に達した。全国平均を上回ったのは、最多の中学国語Bで約3割の12自治体だった。
 要因は諸説ある。教育関係者らは「東日本大震災の影響で沿岸部では落ち着いて勉強できない環境の子どもが多い」「授業スタイルを確立した教員の意識改革が進まない」などと指摘。「進学による子どもの流出を懸念し、学力向上に消極的な地域もある」とため息も漏れる。
 各市町村教委は地域の実情に応じた対策に知恵を絞る。

<秋田に教員派遣>
 栗原市は17年度から、学力テストでトップクラスを維持する秋田県に学ぼうと、人口規模や周辺環境が似た大仙市に小中学校の教員を派遣している。報告会や公開授業を通して指導法やノウハウを共有し、市全体の学力の底上げを目指す。
 市教委の担当者は「成功例から得た知見を大切にして一歩一歩前進し、将来的に『栗原の子どもは学習意欲が高い』という土壌ができればいい」と青写真を描く。
 白石市教委は9月、学力テストの結果を初めて公表した。市の平均正答率が小中の全10科目で全国を4〜8ポイント下回った事態を重視。半沢芳典教育長は「自慢できるデータではないが、現状を伝え、保護者や市民に関心を持ってほしい。家庭と学校が一緒に取り組まないと、学力は上がらない」と語る。
 改善の兆しが見えない県内小中学生の学力をどう引き上げるか。汚名返上を期した関係者の手探りが各地で続いている。


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2018年10月01日月曜日


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