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<原発避難者向け災害住宅>家賃割り増し世帯が1割に 福島県、年内にも軽減措置

いわき市に県が整備した避難者向け災害公営住宅(左)。家賃割り増しの問題は隣り合う市の災害公営住宅と共通する

 東京電力福島第1原発事故の避難者向けに福島県が整備した災害公営住宅で、入居4年目から家賃が割り増しされる収入超過に当たる可能性のある世帯が1割に上ることが30日、県のまとめで分かった。建設費高騰を背景に最大20万円を超える団地もあり、県は年内にも軽減措置を打ち出す。
 県によると、福島、郡山、いわき各市など県内各地の全49団地に5月時点で3599世帯が入居する。このうち、所得水準が収入超過世帯に当たるのは359世帯に上る。
 特に約30世帯は早い時期の入居で、基準となる昨年の所得が前年並みの場合、来年度から収入超過に認定され、家賃が割り増しされる見通しとなっている。
 東日本大震災後の建設費高騰を反映し、割り増し家賃は従来の県営住宅に比べて高額。最高額は3DKで20万7900円に達する。完成時期が早い団地は比較的低いが、来年度から適用見込みの約30世帯の中には家賃が6万円上がり12万8000円になる例もある。
 福島第1原発周辺は帰還困難区域が広がる。避難指示が解除された地域の避難者でも教育や医療環境、放射線への不安などから避難先にとどまる人が多く、公営住宅の過大な家賃負担は生活再建の足かせになりかねない。
 高額な家賃を敬遠し、一定収入がある若い世帯などの退去が相次げば、団地運営に悪影響が出るとの懸念もある。いわき市の団地自治会の男性役員(64)は「コミュニティーを支える世代が退去すれば立ち行かない団地もあるのではないか」と心配する。
 東電の家賃賠償は昨年度で終了。県が始めた代替の家賃支援事業の来年度の継続は「未定」(生活拠点課)だ。継続されても割り増し分が対象外となれば負担増は避けられない。
 県は収入超過世帯の来年度の初認定を前に軽減措置を決める方針で、割増幅を圧縮することなどが軸になるとみられる。建築住宅課は「建設費の上昇という震災特有の事情で割高になる部分を被災者に負担させるのは適切ではない」と説明する。
 津波被害が大きい岩手県は本年度から、3DKで7万7400円など割り増し家賃の上限を設けている。

[収入超過世帯]公営住宅法に基づく基準の月額所得が15万8000円(障害者世帯などは21万4000円)を超える世帯。原則として入居が認められず、4年目以降は家賃が引き上げられ、住宅明け渡しの努力義務が生じる。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故の被災者は特例で入居を認められた。


2018年10月01日月曜日


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