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<ニュース深堀り>北海道地震でもデマ相次ぐ 平時から情報の選択を

地震で発生した北海道厚真町の大規模な土砂崩れと、町内の避難所で段ボール製のベッドを設置する被災者(右上)、デマへの注意を呼び掛ける苫小牧市のHP(左下)のコラージュ

 最大震度7を観測した北海道の地震被災地を9月に取材した。現地では強い余震に加え、住民が会員制交流サイト(SNS)などに拡散したライフラインに関するデマに不安を募らせていた。東日本大震災でも問題視された災害時のデマ。今回、道内自治体はホームページ(HP)などで注意喚起し、一定の効果を上げていた。災害時にパニックに陥らないためにも、各自が平時から情報の取捨選択を心掛ける必要がある。

 「苫小牧市で地響きがしているので数時間後、再び大地震がくる」。9月6日に最大震度を記録した北海道で、消防や自衛隊からの情報を装った書き込みがSNSなどで流れた。デマだ。同8日夜に爆発的に拡散した。
 苫小牧市には「本当に地震が起きるのか」などの電話が殺到。避難所に駆け込む市民も相次いだ。8日午後6時に約65人だった市内の避難者は、午後10時には約250人に上った。
 SNSに慣れた若年層が多い新興住宅地の避難所は、同日夕までゼロだった避難者が夜には約80人になった。
 市の対応は素早かった。8日夜、HPに「全て根拠のないもの」と明記して冷静な行動を呼び掛けた。市危機管理室の担当者は「被害が少なかったから対応できた。復旧に追われていたら難しかっただろう」と振り返る。
 大規模な土砂崩れで多くの犠牲者が出た厚真(あつま)町でも、さまざまなデマの影響を実感した。取材で訪れた避難所で、飛び交う風説を不安がる被災者の声を聞いた。
 IT化とスマートフォンの普及でデマなどの拡散は容易になった。悪意がないにせよ、過剰な不安から流してしまうケースも想定できる。発生を完全に防ぐのは難しい。
 拡散を食い止めるには、公的機関による打ち消しが有効だ。
 「数時間後、大規模な断水が始まる」。大規模停電で混乱した北海道では、こんなデマも拡散した。札幌や函館、帯広、岩見沢、小樽各市はSNSやHPで市民に注意を促したり、否定したりした。
 7月の西日本豪雨では「レスキュー隊を装った窃盗グループが被災地に入っている」といった事実無根の情報があった。広島県警がSNSで「惑わされないで」と否定すると、同県警の投稿は1万回以上転載され、多くの目に触れることになった。
 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)は「復旧には(人心を含めた)被災地の安定化が重要。北海道の地震と西日本豪雨の被災地で、公的機関がデマに対応したことは評価できる」と話す。
 だが、東日本大震災級の大災害となれば、自治体が火消し役を務められるとは限らない。佐藤准教授は「自治体などに問い合わせが殺到すれば復旧の妨げにもなる」と指摘する。
 デマによる混乱を避けるには、各自の心構えが何よりも重要になる。普段から「災害時には流布されるもの」と認識していれば、怪しい話に惑わされることはないだろう。「出どころの分からない情報を拡散しない」など、SNSの正しい使い方も心掛ける必要がありそうだ。(報道部・高橋公彦)

[災害時のデマ]東日本大震災後に「被災地で外国人犯罪が頻発している」などとうわさされたものの、宮城県警によると当時、外国人犯罪が増えた事実はない。2016年4月の熊本地震時も、熊本市の動物園からライオンが逃げ出したとの虚偽情報が拡散。ツイッターに投稿した男が偽計業務妨害容疑で逮捕された。今年6月の大阪府北部地震では、京阪電車や大阪メトロが脱線したなどの話が広まった。


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2018年10月01日月曜日


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