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<どうする みやぎの学力>(4完)教員の指導力向上が鍵/県教委検証改善委座長・吉村敏之氏に聞く

よしむら・としゆき 東大大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。専門は教育方法学。1994年宮城教育大授業分析センター専任講師に採用され、2010年4月から現職。54歳。栃木県出身。

 宮城県教委は全国学力テストの結果を分析し、効果的な指導法を示すため、有識者らでつくる検証改善委員会を設置している。座長を務める宮城教育大教職大学院の吉村敏之教授に、低迷する県内小中学生の学力について、現状や課題を聞いた。(聞き手は報道部・小沢一成)

◎宮城教育大教職大学院 吉村敏之教授インタビュー

 −2018年度学力テストの結果をどう見るか。
 「順位はショッキングだった。それ以上に基礎学力が定着していないことを危惧している。これまでも簡単な漢字の書き取りや計算問題で全国平均より低い傾向が続いており、残念ながら今回も改善できなかった」

 −一番の課題は。
 「宮城の子どもが他県より劣っているわけではなく、教員が子どもの力を十分に引き出せていない。基礎、基本を定着させるためには、教員が一人一人の問題点を捉え、きめ細かく指導し、その子に合った形で習熟を図らないといけない。子どもの学力は教員の指導力にかかっている」
 「教員は子どもにいろいろと作業をさせ、教えたつもりになっていても『活動あって学びなし』になっていないか。ペアやグループによる学習など学びの型が固定化し、学力向上につながっていないのではないか。教員は適切な指導法を選べるよう、絶えず授業研究に取り組むべきだ」

 −地域によって子どもの学力に差が出ている。
 「沿岸部では東日本大震災の影響で家庭の生活基盤が安定せず、子どもが学習に向かえないという話をよく聞く。東京一極集中が進む中、内陸部でも地域の将来に展望を持ちにくく、人生を豊かにするために学ぶというビジョンを描きにくい。学力差は将来の自己実現や収入に関わる」

 −学力向上に向け、教育行政に何が求められるか。
 「子どもの問題行動やいじめ、不登校などが多く、教員は肝心の学習指導より、生活指導にエネルギーを割かれている。教員が授業に集中できるよう手を尽くしてほしい。地域や保護者が学校をサポートするような態勢づくりも必要だ」

 −県検証改善委の検討状況は。
 「昨年からの課題だった『小中連携』をどう図っていくか、一つの方向性を提示する。ただ、指導法のヒントを示した処方箋は既に出尽くしており、学校現場でいかに活用してもらえるかに重点を置いて議論を進めたい」


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2018年10月02日火曜日


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