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<週刊せんだい>心を整える方法(1)瞑想/自己見詰め今に気付く

書棚に並ぶ瞑想関連の書籍=仙台市青葉区のジュンク堂書店仙台TR店
みんなの寺が一般向けに実施しているビパッサナーの瞑想会=仙台市泉区
瞑想ブームの背景などを語る佐藤さん=仙台市青葉区

<米の有名企業が導入>
 近年、瞑想(めいそう)の世界で、宗教色を排した「マインドフルネス」という言葉を耳にする。今という瞬間の身体感覚や心の状態に意識を向け、ひたすら客観的に観察する瞑想を意味する。過去や未来に向かいがちな心を今にとどめ、ありのままの心を見詰めることで、ストレスを減らし、落ち着きや集中力を高めるトレーニング法と言われる。
 マインドフルネスは約10年前に米国のグーグルなどの有名企業が導入して注目された。国内でも医療や福祉、ビジネスの現場などでストレス軽減法として活用されている。
 仙台市内の書店では、マインドフルネスのコーナーを設けているところもあり、心のトレーニング法としての瞑想が浸透しつつあることを物語っている。
 マインドフルネスは決して新しいわけではない。約2600年前から受け継がれている仏教のビパッサナー瞑想に根差しているとされる。ビパッサナーはパーリ語で「明晰(めいせき)に観察する」という意味だ。

<一般向けに無料指導>
 仙台市泉区の単立寺院「みんなの寺」は15年前から、地域住民の要望を受け、ビパッサナーの瞑想会を無料で開いている。
 初歩の段階では目を閉じ、あぐらをかいて座り、腹部の動きに集中して、ひたすら「膨らみ、膨らみ」「縮み、縮み」と心の中で動きを実況中継する。その最中に思考や感情、感覚が浮かんだ場合は、「妄想」「怒り」「痛み」などと客観的、瞬間的に捉える。
 天野雅亮住職(50)は「多い時には約20人が参加する。ビパッサナー瞑想は自己と向き合うことで、ありのままの状態に気付き続けるための瞑想とも言える。煩悩との付き合い方を実感することで、心が少しずつ整ってくる」と語る。歩く瞑想の後、座る瞑想を続ける。二つの瞑想後、心の思いを語り合う時間も持つ。
 「怒らなくなった」(80代男性)「ままならない自分の心に気付いた」(50代男性)「心の病で苦しんでいたが、少し心が楽になった」(30代男性)「感情の切り替えがうまくなった」(60代女性)「心が混乱状態の時に瞑想して救われた」(40代女性)…。参加者の感想はさまざまだが、瞑想後の表情は一様に穏やかだ。
 同寺の瞑想会は原則として、第1、3金曜日の午前9時〜10時半、第2、4金曜日の午後7時半〜9時、第1土曜日の午前6時〜同45分。連絡先はみんなの寺022(778)1630。

 世の中はストレスや悩みに満ちている。瞑想や呼吸法、ヨガ、座禅を通じて心穏やかに生きるこつの一端を紹介する。

◎瞑想ブームの背景は?/効果 科学的に裏付け

 仏教関連の書籍を中心に手掛けている出版社サンガ(仙台市)の佐藤由樹編集長(43)は、近年の瞑想ブームについて「近代的な自我や物質至上主義の幸福観を見直そうとする風潮が背景にあると思う。瞑想の効果が科学的に証明された点も大きい」と語る。
 同社は、ベトナム出身の世界的な禅僧ティク・ナット・ハンさんや初期仏教の教えを説くスリランカ出身で日本在住のアルボムッレ・スマナサーラさんらの著書などを出している。瞑想に関しては、ナット・ハンさんの「ブッダの幸せの瞑想」やスマナサーラさんの「自分を変える気づきの瞑想法」など20冊以上も出版。仏教の総合誌「サンガジャパン」でも何度か瞑想の特集を組んでいる。
 佐藤さんは「社会の最先端にいるグーグルやフェイスブックなど米国の有名企業が、いち早くマインドフルネスを取り入れたのは象徴的だ。インターネットの発展で意思疎通の方法が多彩になり、私たちの頭の中には情報が駆け巡り、感情が刺激されて混乱している。暴走する感情や心の癖を制御する大切さに気付く人が増えている」と語る。
 マインドフルネスとビパッサナーの違いについては、「端的に言えば、宗教色があるかないかの違いだ。瞑想の根幹には無常や無我など人生の真実を説くお釈迦(しゃか)様の教えがある。仏教の奥深さにも触れてほしい」と話している。


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2018年10月04日木曜日


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