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<E番ノート拡大版>田中、守備も成長 「周囲に安心感与えたい」意識

9月30日のオリックス戦で、フェンス際まで飛んだ打球を好捕する東北楽天の田中=楽天生命パーク宮城

 9月29日の日本ハム戦でサヨナラ打を放つなど新人王争いでアピールを続ける東北楽天の中堅手田中は、同じく記者投票で選ばれるゴールデングラブ賞の外野手部門でも初受賞が視界に入っている。平石監督代行が「(二つとも)チャンスがある。球界を代表する外野手になるポテンシャルがある」と太鼓判を押すように、縦横無尽に外野を駆ける守備は秋山(西武、八戸大出)、柳田(ソフトバンク)ら名手と言われる外野手にも見劣りしない。

<早さより判断力>
 9月30日オリックス戦の五回1死では安達の中堅フェンス際の打球に追い付いた。頭を越されそうな打球に強い。「ほかの選手が捕れない打球にも追い付きたい」と思い描く田中の名刺代わりが6月1日ヤクルト戦で見せたスーパープレー。九回1死一塁、谷内が打ったフェンスを直撃しそうな打球を壁際で背走キャッチ。そこから、一走が飛び出していると見るや瞬時に返球し、中継を介して一塁でアウトにした。
 だが本人は派手さよりも「難なく捕り、周囲に安心感を与えたい」と意識。ポテンヒットになりそうな浅い打球も簡単に捕る対応力を磨いている。その成果が9月5日オリックス戦での守備。5−6の六回1死、宗が遊撃手後方へ放った詰まった当たりにトップスピードで近づくと、駆け抜けたまま膝元の高さに落ちてきた球を平然と逆シングルで捕った。
 守備では1歩目を踏み出す早さが重視されがちだが、50メートル5秒89の俊足を持つ田中は、逆転の発想で状況判断力を向上させた。「あえて動き出しを一呼吸遅らせ、周囲を見る。それで打球判断を優先でき、落ち着いて守れる」と明かす。

<緩慢プレー契機>
 守備で急成長するきっかけは、「緩慢な守りが原因」(平石監督代行)で今季1度、2軍降格したこと。4月4日の日本ハム戦、0−1の八回1死、アルシアが中前打を放った。田中が捕球後に二塁へ山なりの返球をする間に、決して俊足ではない相手に二塁を陥れられた。5月23日の1軍復帰後、田中は「中心選手でない自分は守備のミスは許されない」と常に自戒する。
 球界で「絶滅危惧種」とも言われる両打ち打者として8月1日オリックス戦ではリーグ史上14人目となる左右両打席アーチを放った。18本塁打、21盗塁を誇り、今季の新人王争いでも先頭集団にいる。その田中の理想像は昨季までの同僚で今季限りで引退する西武の松井。「同じ両打ちの(松井)稼頭央さんには技術面だけでなく、常に必死にプレーする姿勢、周囲の人たちや自分の置かれている環境に感謝する姿勢の大切さを学ばせていただいた」。田中は走攻守の三拍子だけでなく、人間力でも周囲の尊敬の対象だった大先輩の姿を心に刻み、研さんを続ける。(金野正之)


2018年10月04日木曜日


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