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<山形大の迷走>検証・学内ハラスメント(上)ずれ 学長の説明、論理倒錯

定例会見でセンター長の処分について語る小山学長=9月6日、山形市の山形大小白川キャンパス
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 否認、矮小(わいしょう)化、そして説明拒否。学内ハラスメントに対する山形大の姿勢だ。同大xEV飯豊研究センターのパワハラ問題は疑惑発覚から1年後、加害側のセンター長を前代未聞の減給1万円として幕引きを図った。アカデミックハラスメント(アカハラ)を受けた工学部生の自殺問題では責任を認めず、遺族との訴訟が続く。迷走を繰り返す山形大のハラスメント対応を検証する。(山形総局・吉川ルノ)

<懸念の声相次ぐ>
 問題のすり替えと意味不明な説明の繰り返し。小山清人学長は毎月1、2回開かれる定例会見で、記者たちが思わず首をかしげるような回答を連発した。
 典型的だったのは、センター長を最も軽い減給1万円の処分とした根拠を問われた8月2日の会見だ。
 山形大の懲戒規程にパワハラの規定はなく、セクハラの条項を準用する定めになっている。
 懲戒処分の標準例は(ア)上下関係に基づく影響力を用いたセクハラは停職以上(イ)相手の意に反し、繰り返し行われたセクハラは停職、出勤停止または減給−と規定。セクハラをパワハラに読み替えれば、センター長の行為は(ア)に当たるはずだが、大学はなぜか(イ)を適用した。
 小山学長は「パワハラの言葉自体に上下関係が含まれるため」と説明。記者からは「それなら(ア)が適用されてしかるべきではないか」との質問も相次いだが、その後は「うまく説明できない」とかわした。
 処分の軽重について「処分は厳正性が必要。世の中がどうというより、規則に照らして処分した」と強弁したものの、世間との認識のずれは否めない。事実、山形大の学生や専門家からは「軽すぎる」「パワハラ処分の前例になってしまうのでは」との驚き、懸念の声が相次いだ。
 9月の会見で再び処分の根拠を問われると、今度は「役員会の審議内容を総合した結果。公表は控えたい」と回答を拒否した。
 ハラスメント行為の加害者に対する処分は、その組織がいかにハラスメントと向き合い、撲滅を図っていくのかという対外的なメッセージでもある。一連の学長発言には、そうした社会的影響への配慮は感じられなかった。

<証拠を報告せず>
 山形大のパワハラ問題を巡っては、飯塚博工学部長が証拠資料を職員組合から受け取っていながら、学長らに報告していなかった点も問題視された。
 資料はセンター長が記した書き置き、張り紙の画像。「ボケが!!」「役立たず」など、日常的に職員が被害にさらされている状況をうかがわせる内容だった。
 学内で適切な対応が取られていれば、早期に実効的な救済を図ることもできたはずだった。だが、学長は工学部長の対応を「適切だった」と評価。対応の改善策を探る動きさえ見せなかった。
 「パワハラがあれば処分している。処分はしておらず、パワハラは把握していない」。河北新報社が初めてパワハラ疑惑を報じた直後の昨年10月の学長会見の発言だ。「処分がないから事実はない」。そんな倒錯した論理を持ち出してまで不都合な事実を覆い隠そうとする姿勢は、最後まで変わることはなかった。

[山形大パワハラ問題]山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)の職員3人が昨年3〜5月、センター長の50代男性教授からパワハラを受けたとして相次いで退職したことが発覚。大学の特別対策委員会が約7カ月間、関係者の聞き取りなどを行い、(1)「ボケが!!」「役立たず」などと記した書き置きなどを職員の机に残した(2)外部の人の前で「偏差値40」「小学生以下」などと侮辱した(3)事務連絡メールで「無能で非常識なお馬鹿(ばか)さんへ」と記した−など7件の行為をパワハラと認定した。


関連ページ: 山形 社会

2018年10月06日土曜日


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