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<北海道地震1ヵ月>札幌の液状化、復旧見通せず 同様の造成地は東日本大震災被災地にも 専門家「対策を」

液状化による地盤沈下で大きく傾いた住宅。道路は通行止めが続き、復旧の見通しは立っていない=2日、札幌市清田区里塚

 北海道地震の発生から6日で1カ月。液状化とみられる現象で道路の陥没や住宅損壊の被害に見舞われた札幌市清田区では、今も復旧の見通しが立っていない。現地は盛り土された住宅街で、同様の造成地は大規模なかさ上げ工事が進む東日本大震災の被災地にも数多くある。専門家は液状化の危険性を示すハザードマップの整備など、早急な対策の必要性を指摘する。

<静まり返った街>
 JR札幌駅から南東10キロにある清田区里塚地区。台風24号が過ぎ去った今月2日の早朝、ブルーシートで覆われた道路は、地盤沈下した箇所に池のような水たまりが広がっていた。多くの住民が避難し、静まり返った街の入り口には現在も警察官が常駐する。
 市建築指導部が地震直後に実施した応急危険度判定では、地区の311棟のうち倒壊の恐れがある「危険」が61件、「要注意」が48件に上った。家々は目視で確認できるほど大きく傾き、「危険」を表す赤い紙が各所に張られている。
 「余震はもちろん、雪が降る季節に入るのが心配だ」とため息をつくのは、中央町内会長の盛田久夫さん(74)。9月中旬に市の住民説明会があったが原因は明らかになっておらず、「分譲地の造成を許可した市に責任がある」と憤る。

<空洞化の可能性>
 里塚地区は1970年代後半、河川を覆う形で造成された。市内で2日にあった地盤工学会の調査速報会で、北海道大大学院の渡部要一教授(地盤工学)は「液状化した土砂が下流側に向かって流出した。上流側の陥没した地下は空洞化している可能性があり、注意が必要」と呼び掛けた。
 市が2009年に公表した液状化マップでは、里塚地区は危険度が4段階で最も高いエリアに分類されていた。北大の石川達也教授(同)は「マップの有効性を再認識した」と強調し、「市民が情報を簡易に入手できる環境を整えるべきだ」と提言した。

<情報公開が必要>
 国土交通省によると、宮城県内の市町村でマップを作成したのは仙台市のみ。ただ、データは10年間更新されていない。県沿岸部では地盤をかさ上げする盛り土工事が進んでおり、県危機対策課は「まちづくりが落ち着いた時期に全域を調査したい」との認識を示す。
 東北大の風間基樹教授(同)は「技術が発達し、近年の造成地で液状化が起こる可能性は極めて低い」と前置きした上で、「地盤の状況を個人で確かめるのは難しい。行政が液状化の履歴や強度といった情報を積極的に公開する姿勢が欠かせない」と求める。(報道部・桐生薫子)


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2018年10月06日土曜日


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