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<山形大の迷走>検証・学内ハラスメント(中)打算 最先端研究守りたい

xEV飯豊研究センターの内部。車載電池の解析のため国内外の電気自動車20台が並ぶ

<センター長擁護>
 「蓄電分野は山形大の有望株。大学はセンター長に気を使っている」
 山形大xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)のパワハラ問題で7月、加害側となったセンター長に対する約1万円の減給処分が発表されると、学生や保護者の間で冷ややかな受け止めが広がった。「重い処分で出て行かれたら困るのだろう」
 センター長は、民間企業でリチウムイオン電池の主要部材となる電解液に添加剤を混ぜて性能を高める「機能性電解液」の事業化に成功した。その実績が評価され、2011年に山形大に招かれた経緯がある。
 大学は09年、外部から優れた人材と研究開発資金を積極的に獲得する姿勢を明確に打ち出した。基礎研究から事業化までの一体的な推進が目標だ。国内最先端のリチウムイオン電池研究開発拠点となる飯豊研究センターは、その柱の一つに位置付けられた。
 大学は飯豊町内で50年以上操業していた照明器具工場が13年に撤退したのを受け、跡地へのセンター建設を町に提案。町は15年度からセンターを核に蓄電関連企業の集積で地域活性化を目指す「飯豊電池バレー構想」を推進している。
 町が施設に寄せる期待は大きかった。町の広報誌(16年1月号)は、センター長と後藤幸平町長の「新春対談」を特集。「町人口の1%を博士にしたい」。センター長は壮大な夢を語っていた。
 研究センターの建設費15億円は山形大が8億円、町が7億円をそれぞれ負担した。大手メーカーをはじめ既に約50社が共同研究に加わっている。
 電気化学分野の研究者は「飯豊研究センターは、その成り立ちからセンター長ありきの施設」と指摘。「パワハラ行為があっても大学は擁護せざるを得なかったのだろう」と解説する。

<組合の告発無視>
 センターでは、パワハラ被害を訴えた職員3人が相次いで退職している。事態を重く見た同大職員組合は昨年5月以降、センター長の行為を把握しているかどうかを問う小山清人学長宛ての質問書を2度提出している。
 質問書は当事者からの相談を基に「パワハラが常態化していたことは疑いの余地がない」と強調したが、大学の反応は冷淡だった。「ハラスメントについては大学の懲戒規程に基づき適正に対応している。個別の案件については(パワハラの)存否を含め回答しかねる」。足元からの告発は事実上、無視され続けた。
 最終的に大学が学内調査に乗り出したのは昨年11月。組合が職員への暴言を記した書き置きや張り紙の画像を証拠として公表し、社会的な批判が強まった後のことだった。

[山形大xEV飯豊研究センター]山形大と山形県飯豊町が2016年1月に整備した。「xEV」は電動輸送機器の総称。同7月には、研究成果を一部事業化する大学発ベンチャー企業「飯豊電池研究所」がセンター内に発足。センター長が全額出資し、社長には山形銀行山形成長戦略推進室の長谷川貴一氏が就いた。


関連ページ: 山形 社会

2018年10月07日日曜日


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