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<福島知事選>郡山・医療機器開発支援センター 赤字解消、先行き不透明

オープン直後から経営難に陥っているふくしま医療機器開発支援センター

 エックス線を遮蔽(しゃへい)する電波暗室は、電磁波が与える医療機器への影響などを調査する。模擬手術室は臨床現場にいるように医師がトレーニングを重ねられる。
 ふくしま医療機器開発支援センターは2016年11月、福島県が郡山市に開設した。医療関連産業の集積に向けた拠点施設は経営再建の真っ最中だ。

<目標を半分に>
 センターはメーカーなど民間企業の利用を前提にしているが、第一歩からつまずいた。
 実質初年度の17年度は収入が4200万円にとどまり、当初計画の約3億円を大幅に下回った。県は18、19年度の支出予定額を前倒しして対応した。
 本年度は経営改善計画を基に再スタート。前年度の半分とした1億5500万円の収入目標に対し、7月末現在の見込み額は5000万円となっている。
 「順調に推移している。年間目標をクリアできそう。営業の成果が出始めている」。センターの伊藤智樹事務局長は強調する。
 だが、目標を達成しても維持管理費などがかさみ、5億4600万円の赤字になる見通し。今後の状況も同じで、国の交付金を活用した県の基金などから補填(ほてん)を続けることになる。
 建設費は134億円。巨額を投資した施設には「準備不足の見切り発車」を指摘する声がある。
 「メーカーはそれぞれ既存の評価機関と信頼関係を築いてきた。医療機器の実験には大金がかかる。公的といえども、新たな機関に任せるのは難しい」。県内企業の担当者は率直だ。
 別メーカーの担当者は「開発から事業化まで対応できるのが売りのはず。なのに、部品の発注先といった関連企業などをつなぐネットワークが構築できていない」と嘆く。
 センターは「実験用の豚を最大150匹飼育できる」とアピールしていたが、内容によっては1件約100万円の動物実験は十分に受注できていない。動物実験の実施機関向け国際認証を、取得するまでに至っていないことが大きい。

<「常に危機感」>
 国際認証は年度内に2種類の取得を目指しており、10〜11月に審査を受ける予定。伊藤事務局長は「認証を待っている企業も多い。取得できれば受注に弾みがつく」と語る。
 センターが担う東京電力福島第1原発事故からの産業復興は、知事選(11日告示、28日投開票)でもクローズアップされる課題だ。
 医療産業の集積という成果を生み出していけるのかどうか。慢性的な赤字体質から脱却できるかどうか。県医療関連産業集積推進室は「常に危機感を持ち、しっかり工程管理をしていく」と説明する。
(郡山支局・岩崎かおり)     

[ふくしま医療機器開発支援センター]福島県がJR郡山富田駅(郡山市)南側に開設した。一部3階、延べ床面積約1万1500平方メートル。電波暗室、各種試験を行える分析室、模擬手術室2室などを備える。総事業費約134億円は国の交付金を基にした基金を活用。一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構が指定管理者として運営する。電気・物性の試験料は県内企業の場合は25%引きで対応。


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2018年10月07日日曜日


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