山形のニュース

<山形大の迷走>検証・学内ハラスメント(下)矛盾 責任回避へ調査否定

工学部生の自殺と助教のアカハラの因果関係を認めた第三者調査委の報告書

 否認、矮小(わいしょう)化、そして説明拒否。学内ハラスメントに対する山形大の姿勢だ。同大xEV飯豊研究センターのパワハラ問題は疑惑発覚から1年後、加害側のセンター長を前代未聞の減給1万円として幕引きを図った。アカデミックハラスメント(アカハラ)を受けた工学部生の自殺問題では責任を認めず、遺族との訴訟が続く。迷走を繰り返す山形大のハラスメント対応を検証する。(山形総局・吉川ルノ)

<因果関係認めず>
 「第三者調査委員会の調査結果は、そのまま大学の判断となるわけではない」。答弁書での大学側の主張は自ら依頼した調査の結果を認めない矛盾をさらけ出してでも、賠償責任を逃れようとする内容だった。
 指導教員の男性助教からアカデミックハラスメント(アカハラ)を受け、2015年11月に自殺した工学部(米沢市)の男子学生の遺族が、助教と大学に損害賠償を求めた訴訟。遺族側は自殺とアカハラの因果関係を認定した調査委の報告書を証拠提出したが、大学側は報告書から「因果関係を認定することまではできない」と反論した。
 訴訟で不利になる恐れがあれば、調査結果の信用性を真っ向から否定する。これでは一体、何のための調査だったのか分からない。
 大学は16年10月、学生に長時間説教をしたり、不機嫌な態度を示したりする行為を日常的に繰り返したとして、助教を停職1カ月の懲戒処分とした。この時、研究室に所属していた男子学生の自殺は公表しなかった。
 第1回口頭弁論の後、初めて行われた昨年8月の定例記者会見で、小山清人学長は自殺した学生の両親への思いを問われ「一般論としては申し訳ない。裁判の話とは別個に申し訳ないと思っている」と述べた。
 大学は現在も係争中だとして、助教によるアカハラ発覚の経緯や、懲戒処分の発表時に男子学生の自殺を伏せた理由について一切答えていない。

<最も軽微な処分>
 「大学のハラスメント対応は、被害者救済という点では全くと言っていいほど機能していない」
 工学部生のアカハラ自殺やxEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)でのパワハラ問題を受け、同大職員組合は昨年10月、これまでの対応を抜本的に見直すよう求める書面を提出した。
 品川敦紀執行委員長(当時)は「加害者が所属する部局の関係者が被害相談や事案調査に携わり、大学執行部の恣意(しい)的な判断が入り込む余地がある」と分析。「透明性や信頼性が確保できていないため被害者は申告しにくく、学外からの信用も得にくい」と問題点を指摘した。
 飯豊研究センターのパワハラ問題で、組合は証拠となるセンター長による暴言の書き置き画像などを公表。大学も学内調査を実施せざるを得なくなった。
 大学はパワハラ調査に当たる特別対策委員会のメンバーに外部の専門家を加えるなど、組合の要求を一部取り入れたものの、調査結果では心身に不調を来した被害者がいた事実が認定されないなど、踏み込み不足も指摘された。
 辛うじてパワハラの事実は認定したが、センター長の懲戒処分が最も軽微な減給1万円となったことを考え合わせれば、一連の対応は再び大学の信頼回復を遅らせる結果となった。

[山形大生アカハラ自殺]工学部4年の男子学生が2015年11月に自殺し、第三者調査委員会は16年6月、指導教員の助教によるアカハラと自殺の因果関係を認める報告書を作成した。報告書によると、自殺の2日前も、卒業研究の発表練習会で助教から内容の不備を厳しい言葉で叱責(しっせき)された。両親から相談を受けた複数の教員は、いずれも学内のハラスメント対応担当者にその内容を伝えていなかった。両親は17年5月、大学と助教に計約1億1900万円の損害賠償を求める訴えを山形地裁に起こした。


関連ページ: 山形 社会

2018年10月08日月曜日


先頭に戻る