広域のニュース

<転機の米作り 概算金から見る>(上)腐心/読めぬ市場 値上げ限界

 東北の全農各県本部が農協に支払う2018年産米の概算金が出そろった。国の生産調整(減反)廃止初年は主要銘柄で17年産を上回り、4年連続の上昇基調となった。東北は太平洋側で豊作の見通しで、供給が需要を上回る需給緩和の懸念も広がる。概算金から米価と需給の動向を占う。

 主な銘柄の概算金(60キロ、1等米)は表の通り。宮城、岩手産ひとめぼれ、秋田産あきたこまち、福島・会津産コシヒカリなど各県の主力品種は4年連続の引き上げとなった。県本部の概算金を基に、農協は生産者に支払う概算金を決める。

<上げ幅小さく>
 引き上げ幅は100〜800円となった。多くの銘柄が1万円台を割り込み、過去最低に落ち込んだ14年産以降は17年産まで1000円以上の引き上げが続いてきたが、18年産は小幅にとどまった。
 ただ、実情は17年産と同額かマイナスだ。前年比800円増の秋田産あきたこまち。昨年9月の概算金提示後に市中相場価格が高騰し、設定時価格を大きく上回ったため、1000円の追加払いをした経緯がある。
 18年産概算金は現段階で、追加払い後との比較では200円減となる。秋田県本部の担当者は「年間を通じた相場展開が非常に想定しづらく、現時点で見通せる販売価格を試算し、慎重に決めた」と語る。

<「手取り守る」>
 国のコメ政策の大転換も概算金に反映された。
 18年産からの減反廃止と同時に、参加農家に支払われてきた10アール当たり7500円の直接支払い交付金も終了した。生産者の収入減も懸念される中、宮城県本部はひとめぼれを追加払い後と同額に設定。大友良彦本部長は「農政大転換の初年。生産者の手取りを守るとの意気込みを示した」と説明した。
 農家の所得確保に各県本部が腐心する一方、上昇基調に警戒感が広がる。概算金は東日本大震災後の品薄感で上昇したが、13年産で下落に転じ、14年産で暴落した。福島県本部は「これ以上、価格が上がれば消費者離れが進む。(概算金は)ぎりぎりのレベルだ」と明かす。

<問われる戦略>
 需給バランスも懸念材料だ。東北農政局が9月末に公表した18年産水稲の作況指数は東北全体で平年並みの101、岩手、宮城、福島3県はやや良の102〜103となった。供給が増えれば値崩れを起こしかねない。山形県本部は「需給緩和が予想される。本来なら(概算金を)上げられる環境にはない」と断言した。
 青森県本部は18年産から農協概算金をやめる決断をした。概算金は販売先や価格、時期を県本部が判断する無条件委託が前提だが、今後は販売条件を農協と協議し、販売のたびに農協に代金を支払う「都度精算」となる。
 有機栽培など高付加価値米をより好条件で販売可能になるなど、各農協の販売戦略が問われる。太田修本部長は「生産者や農協の取り組みが価格に反映される」と利点を強調。「販売で結果を出さないといけない。1円でも高く交渉する」と意気込んだ。


関連ページ: 広域 社会

2018年10月10日水曜日


先頭に戻る