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<秋田・高卒就職の今>(下)「希望の星」 企業と密な関係 強み

測量機器を使った実習に取り組む金足農生。甲子園で活躍した野球部と同じ紫色の作業帽をかぶり、資格取得に向けて汗を流す

 「農業高校の星」として夏の甲子園で準優勝した金足農高(秋田市)は、10代の社会減に悩む秋田県にとっても「希望の星」だ。
 専門高校として充実したキャリア教育に取り組むだけではない。甲子園後の再発売で人気をさらった「金農パンケーキ」の共同開発などで築いた企業との密接な関係を、就職に生かしている。
 金足農ナインが甲子園から秋田県に帰郷した8月22日は、同校の夏休み最終日。就職を志す3年生の野球部員は新学期になると他の生徒と同じく、就職試験が目前に迫ってくる。
 環境土木科に在籍する3年生部員の一人は、測量士補の資格を取得し、土木系の公務員試験に臨む。別の部員は夏の秋田県大会の期間中、試合と試合の合間に企業訪問に行った。
 進路指導主事の船木静教諭は「就職試験の前に企業を知ることはミスマッチを防ぐためにも大切」と言う。野球部員や応援団員も甲子園から戻って早速企業を訪ねたといい「訪問先で甲子園の話題で盛り上がった生徒も多かったようだ」と語る。

<県内就職8割>
 同校では今年3月の卒業生171人のうち91人が就職。県内就職率は8割と高く、大学などに進んだ後も県内で就職する傾向が強い。農業分野に限らず、土木系の資格を生かして建設業などにも人材を送り出している。
 商品開発やインターンシップを通した企業とのつながりは強みだ。
 「金農パンケーキ」の開発も約5年前から企業と連携してきた。生徒が希望する企業に直談判し、求人を開拓するケースもあるという。
 県全体では就職後3年以内の離職率が4割ほどに高止まりしているが、金足農は短期間で辞める生徒が少ないことで知られる。
 船木教諭は「生徒は日々の実習などで働くことに慣れている。それを当たり前と受け止め、創立から90年続けてきたことが評価されているのでは」と話す。
 人口減が深刻な秋田では売り手市場が続く。同校によると求人公開日に昨年より100件多い500件の求人があった。県全体の高卒者の求人倍率は2.84倍(8月末時点)で、1991年度と並び過去最高だ。

<指導の支援も>
 ある学校関係者は、進路の選択肢が増えたことで進路指導の負担が増した面もあると指摘する。「地元志向は高まっているが、親元を離れたくないだけの生徒もいる」と述べ、就職後を見据えた指導の必要性を説く。
 県は金足農など専門高校4校を、県内就職率の向上を先導する学校と位置付ける。本年度は求人の開拓や情報提供に当たる「就職支援員」を24校に配置。進路指導を担う教諭のサポートに力を入れている。
 県教委の担当者は「進路指導は学校ごとに力の差があり、ノウハウの共有は課題だ。金足農に学び、底上げしたい」と語る。


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2018年10月11日木曜日


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