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<転機の米作り 概算金から見る>(下)業務用台頭/生産と消費 かみ合わず

2018年産米の試食会。減反廃止初年は生産と消費の矛盾が浮き彫りになった=9月27日、仙台市青葉区の宮城県農協ビル

 国による生産調整(減反)が廃止された2018年産。注目された東北の主食用米の作付面積は34万5500ヘクタールだった。17年産実績(33万4300ヘクタール)、各県が従来の生産数量目標に代わって設定した「生産の目安」の合計(34万2137ヘクタール)のいずれも上回った。

◆飼料用を転換

 けん引したのは外食、おにぎりや弁当など中食向けとなる業務用米だ。市場の不足感もあり、東北農政局の担当者は「飼料用米から需要が堅調な業務用米へ転換が進んだ」と説明した。
 17年産で2万9937ヘクタールだった東北の飼料用米作付面積は、18年産では2万5941ヘクタールにとどまる見通しだ。国が転作交付金を10アール当たり最大10万5000円まで引き上げ、飼料用米に誘導した14年度以降、初めて大幅減に転じた。
 18年産はえぬきの概算金(60キロ、1等米)を1万2900円に設定した全農山形県本部。17年産からの引き上げ幅400円は県産主要銘柄で最も大きい。業務用米としての引き合いが強く、外食・中食に使う価格帯のコメが不足気味との現状を踏まえた。
 福島県産オリジナル品種の「天のつぶ」は17年産比100円上げの1万2200円。外食産業の引き合いが強いが、生産が追い付いていない。県本部は「業務用米の需要と生産にミスマッチが生じている」と指摘した。

◆高価格帯登場

 今秋には高価格帯の宮城県の「だて正夢」、山形県の「雪若丸」が相次いで本格デビューする。ブランド米を掲げた産地間競争は激しさを増すが、全農関係者からは「消費地が求めているのは業務用だ。消費と生産の一体化が図られていない」と冷めた声も上がる。
 その業務用米の需要も頭打ち感が出てきた。15年産以降続いている米価の上昇基調が要因だ。コンビニエンスストアやスーパーでおにぎりを値上げしたり、大手外食チェーンでご飯1杯の量を減らすなどの動きが出ている。

◆消費減が加速

 農林水産省が公表した17年7月〜18年6月の全国需要量は740万トンで、16年同期比14万トン減。14年以降の4年間で合わせて43万トンも減少し、年間約8万トンずつ減るとしてきた同省の試算を上回るペースだ。
 秋田県本部の担当者は「消費減で需要量がさらに減れば、19年の民間在庫量は国の試算値を大幅に上回ることになり、需給が緩むことも十分に想定される」と警戒する。
 家庭用米と業務用米のミスマッチ、米価の上昇基調や加速するコメ離れ−。「使う側と作る側の意図がかみ合っていない」(山形県本部幹部)状況が複雑に絡み合い、産地と市場の動向は不透明感が増している。


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2018年10月11日木曜日


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