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<震災7年7カ月>解体再開前の大槌町旧庁舎で遺族が祈り

旧庁舎前で祈りをささげる犠牲になった職員の遺族ら=11日午後3時30分ごろ

 東日本大震災の月命日の11日、津波で当時の町長と職員ら40人が犠牲になった岩手県大槌町の旧役場庁舎前には職員遺族が集まった。町は中断していた旧庁舎解体工事を近く再開する予定。遺族たちは「ここでの月命日は最後かもしれない」と語り、静かに手を合わせた。
 旧庁舎を訪れた女性(60)は「頼りになる娘で、私の方が支えてもらっていた。最期の時はどんなに不安だったか」と犠牲になった長女=当時(25)=をしのんだ。
 いまだに亡くなった時の状況について町から説明はない。「解体でうやむやになるのは嫌だが、真実を知るのも怖い。旧庁舎前を通るのもつらいことがある」と揺れる思いを吐露した。
 前川克さん(80)は、長男正志さん=当時(51)=を亡くした。生きた証しである旧庁舎の一部保存を望んでいたが「もう無理でしょ。しょうがない」とつぶやいた。
 現場では解体に向けて足場の設置作業が続いた。兄健さん=当時(30)=が行方不明の倉堀康さん(35)は「月命日にやることはないのに」。解体前に遺族の立ち入りを実現するよう平野公三町長に面会を申し込むという。
 一方、町ではこの日、解体工事の請負業者にアスベスト(石綿)除去に必要な資格を持つ従業員がいないなど手続き上の不備が判明。29日ごろとしていた解体着手はずれ込む見通しとなった。


2018年10月12日金曜日


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