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<福島県知事選告示>古里の再生託す一票 有権者の思い

帰還困難区域に設けられた進入防止ゲート前を走る選挙カー=11日午後3時40分ごろ、福島県大熊町の国道6号(写真を一部加工しています)
魚市場で漁業関係者に支援を呼び掛ける候補者=11日午前11時45分ごろ、相馬市(写真を一部加工しています)

 東日本大震災から7年7カ月を迎えた11日、福島県知事選が告示された。福島は今も、東京電力福島第1原発事故で約4万3000人が古里を離れて暮らす。風評被害や放射性物質トリチウムを含む水の処分など課題は山積み。有権者は候補者に何を期待し、一票に何を託すのか。

◎「海洋放出は大問題」

 相馬市の魚市場。新地町の漁師浜野則行さん(66)は試験操業で揚げたホッキ貝を持ち込んだ。午前10時。「ヒラメやカレイも取っているが、値段は震災前に比べればまだまだ。半分いくかどうかだ」
 自宅は津波で流された。船は沖出しして難を逃れた。2年後、集団移転で家を新築し漁を再開。今は本操業再開を願うばかりだ。
 「だけど、福島第1原発でたまり続ける放射性物質のトリチウムなどを含む水が海洋放出されたら大問題。海はつながっている。日本だけの問題じゃない。東電は信用できない」

◎「商業政策の充実を」

 正午すぎ。楢葉町の復興拠点に6月開業した公設商業施設「ここなら笑店街(しょうてんがい)」で、クリーニング店を再開した猪狩哲也さん(50)は作業の仕上げや接客に当たっていた。
 避難指示解除から9月で3年が経過した。町民の帰還が進んだとはいえ、居住率は5割。高齢者が多い。福島第1原発の廃炉や復興工事の従事者も来店するが、今後の需要減が心配だ。
 「若い世代も暮らしやすい町づくりにはサービス業や商業が必要。中期的に成り立つよう支える仕組みの充実、継続を望む」と話した。

◎「働ける世代戻して」

 昨春に避難指示が一部を除いて解除された富岡町。高齢の帰町者が多く介護施設の重要性が増している。
 午後2時。訪問介護計画書を作成していた佐々木郁子さん(39)は「若い世代が帰還できるよう、環境を整えてほしい」と話した。
 「ヘルパーステーション ふくの郷(さと)」の訪問介護課長。施設は10月に事業を始めたばかり。新採用の3人はいずれも町外在住だ。
 「利用者にとって顔見知りで安心できる町内の人を採用したかったが…。働ける世代が戻ってこられるようにしてほしい」。県政への切実な願いを口にした。

◎「帰還の不安応えて」

 午後3時。会津若松市一箕町の長原地区仮設住宅団地で、大熊町から避難する坂井かつえさん(61)は草取りをしていた。団地に掲示された候補者のポスターを見る人はほぼいない。
 大熊町は原発事故に伴う全町避難が続く。坂井さんの団地にも最大256人が避難した。現在は18世帯33人。町が来春を目指す一部の避難指示解除を前に、町外での住宅再建や災害公営住宅への転居が続いた。
 先が見えず仮設にとどまる町民もいる。坂井さんは「戻りたいが、安心して暮らせるのか。不安に応えてほしい」とつぶやいた。


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2018年10月12日金曜日


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