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<どうする登米の医療>(下)経営難 効率化計画奏功せず

若手医師の確保が急務な登米市民病院=同市迫町佐沼

 宮城県登米市の市立病院の医師不足と経営難が深刻だ。市は本年度、常勤医の確保ができず、運営する3病院4診療所のうち登米(とよま)、津山の2診療所を休止した。2005年の9町合併で新市が誕生して13年。合併前と同じ数の公立医療機関が存続する中、医師不足による収入減、非効率的な運営により、病院事業の累積赤字は150億円を超える。地域医療が崩壊しかねない登米市の現状を報告する。(登米支局・小島直広)

 「累積赤字が151億円ある。資金不足も発生し、経営は危機的な状況だ」
 9月7日にあった登米市議会本会議。熊谷盛広市長は2017年度の市病院事業会計決算の厳しい現状を議員らに説明した。

<毎年十数億円も>
 05年の9町合併で誕生した登米市は南方、石越の2町を除く7町が運営していた5病院2診療所と債務を引き継いだ。05年度末の累積赤字は58億円だったが、その後急増。東日本大震災後の11年度から3カ年は横ばいとなったものの、14年度から再び毎年十数億円ずつ赤字が積み上がった。
 17年度は資金不足が約7億5000万円発生し、医業収益に占める割合は12.7%となった。地方財政法が定める10%基準を初めて上回ったため、市の病院事業は借り入れの際に県の許可が必要となる「起債許可団体」に転落した。
 巨額赤字の解消に向け、市も手は打ってきた。08年に「市立病院改革プラン」を策定。合併当時は五つだった病院のうち、08年度に登米(とよま)病院(旧登米町)、11年度によねやま病院(旧米山町)を診療所化して、経営効率化に取り組んだ。
 16年度から10カ年の市病院事業中長期計画もまとめた。医師確保に重点を置き、東北大医学部などとの連携を図ってきたが、勤務医の減少に歯止めがかからず、患者も減少して医業収益は右肩下がりが続く。
 常勤医の数を近隣自治体の拠点病院と比べると、人口13万の大崎市の大崎市民病院は161人、人口6万9000の栗原市の栗原中央病院が31人。これに対し人口8万の登米市民病院は18人と極端に少ない。

<「医師の集約を」>
 17年4月に就任した登米市の大内憲明病院事業管理者(元東北大医学部長)は「医師不足や医療を取り巻く時代の変化に、登米市が対応してこなかった結果だ」と断じる。
 大内氏が指摘するのは、医師免許を取得した医師に2年間の研修を義務付けた臨床研修制度への対応だ。登米市民病院は国から臨床研修病院(基幹型)の指定を受けていないため、研修医の受け入れができない。指定には17年度に2684人だった入院患者数を3000人にする必要がある。
 県によると、県内では登米市近隣の大崎市民病院、栗原中央病院、石巻と気仙沼の両市立病院を含む18病院が指定を受け、若手医師の定着を図っている。
 大内氏は「医師が地域に根付くには、若い時に勤務した初任地の経験が物を言う。登米市は若手が来たくとも来られない環境にあるから、医師が増えない」と指摘。「臨床研修病院指定は必須条件。入院患者数を増やすためにも拠点となる市民病院に医師を集約するしかない」と強調する。


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2018年10月15日月曜日


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