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<平瀬智行の戦蹴眼>正念場の残り5戦

◎ACL本気で狙って

 今季のJ1仙台は本当によくやっていると思う。29節を終えて12勝6分け11敗の勝ち点42で7位。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の出場圏内の3位鹿島を勝ち点4差で追う。総失点44はリーグで5番目に多い中で上位を争えるのは、粘り強く戦えている証拠。特に9、10月の試合で象徴的な場面があった。
 まずは9月1日のホーム清水戦。1−1の試合終了間際、DF蜂須賀の右クロスをMF中野が折り返し、FW石原が頭で押し込んで劇的な決勝ゴールを奪った。昨季までならドローか敗れていた展開で勝ち点3を取れたのは大きい。CSKAモスクワ(ロシア)に移籍したFW西村を最高な形で送り出せたね。
 前節(7日)のホーム浦和戦も興味深い内容だった。1点を追う前半40分、MF野津田の左サイドのFKにニアサイドに入ったDF板倉が頭で合わせて同点ゴールを決めた。直接対決の連敗を6で止めた貴重な得点。相手守備を研究し、きれいな形で奪えた。5戦ぶりに先発したMF椎橋は中盤で落ち着いてプレーし、約5カ月ぶりの先発だった梁勇基も巧みにスペースを突く能力は健在。2人の起用は今後のオプションとして面白いと思うよ。
 2戦とも存在感を発揮したのがMF野津田。清水戦でけがから復帰して以降、攻守に積極的に動いて中盤でボールが収まるようになった。セットプレーでの精度の高いキックも大きな武器になる。石原、阿部らFW陣がここ5戦で計2得点にとどまるが、点は取れない時は取れないもの。終盤戦に入り、セットプレーが得点源になるのはすごく大きい。むろん、FW陣も前線からの果敢な守備で貢献してチームを助けている。
 一方、リーグ戦で2試合計13失点でともに大敗した横浜M戦は課題が出た。ボールを保持して動かしてくる相手に対するプレッシャーが弱く、簡単に前を向いてプレーさせてしまう。仙台は豊富な運動量や球際の厳しさで上回って勝ってきたチーム。引いて守っていいことは何もない。高い位置でプレスをかけ、選手同士で声を掛け合って自陣の空いたスペースを埋めるリスク管理をすればいい。
 今季も残り5戦と最終盤に入った。ここから大事になるのは、内容よりも勝ち点を落とさないこと。次節(20日)の17位の鳥栖戦が試金石になりそう。元スペイン代表の世界的FWフェルナンドトーレス、元日本代表のFW金崎を擁する攻撃陣に押し込まれ、守備で剥がされたら終わり。つぶしに行く意識で前に出て、相手に自由にプレーさせない守りが欠かせない。
 仙台は2012年の2位を最高に、13年以降は10位台の下位に苦しんだ。せっかくの上位進出の好機に選手たちは「やってやる」と思っているはず。来年はクラブ創設25周年の節目。相手がどこであれ食らい付き、6年ぶりとなるACL出場を本気で狙ってほしい。(ベガルタ仙台クラブコーディネーター)


2018年10月15日月曜日


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