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<この人このまち>富岡だからこそ可能性探せる 東京から移住した司書

東山恵美(ひがしやま・めぐみ)1990年東京都羽村市生まれ。明星大卒。都内の図書館勤務を経て、2018年3月に福島県富岡町に移住し、町図書館司書となった。

 福島県富岡町は昨春、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が一部を除いて解除された。今年4月には町立図書館が7年ぶりに開館した。東京都内から移住した司書東山恵美さん(28)は「富岡だからこそ図書館が役に立つ」と信じる。(福島総局・柴崎吉敬)

◎富岡町図書館司書 東山恵美さん(28)/避難している方々にも町そのものを届けたい

 −移住のきっかけは。
 「都内二つの図書館で計5年間、常勤の嘱託職員として働きながら『司書としてずっとここで頑張ろう』と思える場所を探していました。昨年冬に町の求人を見て初めて富岡を訪問。当初は人が少なく荒涼とした印象でしたが、覚悟が持てる場所だと確信しました」
 「図書館が役に立ちそうとも感じました。来館には理由も対価もいらない。時間も気にせず自由に過ごせる。それが求められる町で、図書館の可能性を探せるとの思いを抱きました」

 −町と町民の印象は。
 「吹く風が爽やか。おっとりした方が多いかな。話してみて驚いたのは、それぞれの方に焼き付いて離れない町の景色があること。私は被災前の町は知りませんが、富岡での暮らしが皆さんにとっていかに大切だったかが伝わってきます」

 −図書館再開から半年余りがたちました。
 「利用者は次第に増え、平日は40〜50人ほど。近くの医療センターの待ち時間や、片付けで一時帰宅した際に立ち寄る方もいます。館内では、お菓子を置いた『くつろぎスペース』が好評です。遭遇した町民同士のだんらんの場にもなっています」

 −8月には移動図書館を始めたようですね。
 「町内といわき市の災害公営住宅計4カ所を、月に1回巡回します。避難を続けている町民の方々が富岡を感じられるよう、郷土の本を増やしています。8年ぶりに復活した町の伝統行事『麓山(はやま)の火祭り』の写真も紹介しました。町そのものを届けるような移動図書館にしていきたいです」
 「今春再開した富岡小中学校には5000冊を備える分館を設置しました。図書館職員も週3回通い、調べ学習などを手伝っています。子どもたちは人懐こく、元気に学んでいます」

 −どんな図書館でありたいですか。
 「町民の皆さんが充実して過ごせる日が一日でも多くあれば幸せ。本との出合いや来館を通し、生きがいや会話、楽しみなどを見つけていただけるよう、これからも挑戦を続けていこうと思います」


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2018年10月15日月曜日


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