福島のニュース

<福島県知事選>再エネ導入促進に壁 農地転用の申請に時間、買い取り価格引き下げ懸念も

共有送電線の埋設工事現場。パイプの中に送電線を通す=12日、南相馬市小高区

<工事急ピッチ>
 南相馬市小高区の市道。共有送電線の埋設工事が急ピッチで進む。風力や太陽光などの複数の発電事業者が使えるようにする。
 「相乗りで利用することで送電コストを抑える」。工事を手掛ける福島送電合同会社(福島市)の幹部の佐々恵一さんは強調する。同社は福島県の第三セクター福島発電(同)と東京電力、東邦銀行が出資して設立された。
 県は東電福島第1原発事故を教訓に、再エネ導入の促進に力を入れる。2017年度の導入実績は出力ベースで県内のエネルギー需要の30.3%に相当する180万キロワット。40年にも100%相当まで高める目標を掲げる。
 共有送電線は浜通りと中通りで総延長約50キロの工事を実施中。20年4月に利用が始まれば、風力発電所など30カ所で計60万キロワットが順次連係され、東電の送電網を通じて首都圏に供給される。再エネ導入量は堅調に増える見通しだ。

<「独自制度を」>
 とはいえ、全てがスムーズに進んでいるわけではない。
 福島市西部に開所した太陽光発電所。農業生産法人銀座ミツバチ(東京)が農地40アールを購入し、高さ3〜4メートルの架台に出力49.5キロワットの発電パネルを設置した。
 太陽光を農業と発電の双方に使う「ソーラーシェアリング」。法人の田中淳夫社長は「農地を通年で有効活用できる」と力を込める。
 実現までにはパネル設置に必要な農地の一時転用が課題となった。許可の申請に時間を要したという。
 事業に協力した飯舘電力(福島県飯舘村)の近藤恵専務は「地元農家が参入する際は届け出制にするなど特区的な独自制度があればいい」と提案する。

<18円ギリギリ>
 固定価格買い取り制度(FIT)の価格も懸念材料だ。本年度に認定を受けた太陽光発電事業者(出力10キロワット以上)からの買い取り価格は1キロワット時当たり18円。制度が始まった12年度の40円の半分以下になった。19年度以降はさらに下げられる可能性がある。
 「とにかく18円を確保しないと」。9月25日、二本松市であった市民電力準備会社の設立総会。今月25日までに売電先となる東北電力への申請が必要なことが報告され、出席者に焦りの色がにじんだ。
 二本松市の担当者は「土地の賃料を払ったり収益の一部を地域振興に充てたりする上で18円はギリギリの価格だ」と強調する。価格引き下げが「発電事業者の新規参入の妨げになる」との見方も出ている。
 県再エネ導入推進連絡会委員の佐藤理夫(みちお)福島大教授(化学工学)は「太陽光発電に偏ると電力需給の調整が難しくなり、大規模停電のリスクが増す」と価格引き下げの背景を指摘する。
 その上で、出力が不安定な再エネの増加に対応した新しい電力需給システムは「大消費地の首都圏でこそ必要」と指摘。県に対して「『試験利用してやるからシステムを開発して持ってこい』と東京に言うぐらいの攻めの姿勢を持ち続けてほしい」と求める。(福島総局・関川洋平)


関連ページ: 福島 政治・行政

2018年10月16日火曜日


先頭に戻る