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<東北地銀M&A支援>高齢化進み事業承継でニーズ増 新たな収益の柱に

田中社長(右)に事業の状況を聞く仙台銀の担当者=仙台市青葉区のアース不動産

 経営者の高齢化が進み、事業承継が課題となっている東北で、地方銀行が仲介する企業の合併・買収(M&A)のニーズが高まっている。事業者は新たな受け皿で事業と雇用を維持でき、地銀は取引先のネットワークを生かして成約による手数料収入が得られる。各行は低金利による厳しい経営環境が続く中、新たな収益の柱として体制を強化している。

<地域経済を守る>
 アース不動産(仙台市)は2月、約200世帯の管理業務を平和住宅情報センター(同)に譲渡するM&Aを実施した。アース不動産の田中信夫社長(75)は「家族経営で管理業務は負担だった。今後は仲介と賃貸に専念できる」と喜び、センターの奥山俊一社長(41)も「顧客と田中社長の信頼関係を、そのまま引き継げた」と歓迎した。
 両社を結び付けたのは、ともに取引のある仙台銀だ。田中社長から相談を受け、管理業務の買い手としてセンターを紹介。売買価格の設定は提携する不動産鑑定会社に頼んだ。同行の仲介によって、両社のM&Aに対する信頼が高まった。
 同行本業支援室の担当者は「廃業する企業が増えれば地域経済は縮む。取引先同士をつなぎ、地域経済を守ることは地銀の重要な役割」と強調する。
 低金利と人口減少で本業収益が低下する地銀は、コンサルティングによる手数料拡充を目指している。中でもM&Aは注力する業務の一つ。多くの地銀が担当者を本店に置き、営業店から上がったニーズを一元管理して相手先の紹介や価格交渉の仲介に当たる。
 岩手銀は2013年度の成約支援先数が4件だったが、17年度は17件に増えた。大東銀(郡山市)の支援先も16年度の10件から17年度は15件に伸びた。

<金融同士も連携>
 金融機関同士の連携も広がっている。七十七銀は広島銀(広島市)と協力して2月、石材販売のランドワーク(旧松島産業、宮城県松島町)が、事業承継に悩む山口石彫(広島県東広島市)を子会社化するM&Aを支援した。ランドワークは商圏を拡大し、山口石彫は雇用を維持できた。
 両行など北海道から九州の9地銀は14年、企業支援ネットワークを形成。M&Aについては東京で3カ月に1回情報交換し、取引先のニーズを共有している。
 七十七銀コンサルティング営業課の担当者は「地元企業をよく知る地銀同士ならば、買いと売りのニーズも合いやすい。くっつけて終わりではなく、企業の存続や発展に向けたサポートもする」と力を込める。
 山形銀は9月、山形信用金庫(山形市)など県内の4信金とM&Aの取引先紹介に関わる協定を締結。地元でのネットワークをさらに強化しようとしている。


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2018年10月16日火曜日


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