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<仙台・警官刺殺>事件1カ月 動機見えず書類送検へ 容疑者「甘粕事件」関心か

ブルーシートに覆われたままの東仙台交番=19日午後

 仙台市宮城野区の仙台東署東仙台交番で清野裕彰警部補(33)=巡査長から2階級特進=が刺殺された事件は19日、発生から1カ月となった。宮城県警は別の警察官の銃撃で死亡した東北学院大3年相沢悠太容疑者(21)=仙台市宮城野区新田2丁目=の関係者への事情聴取などを続けてきたが、動機に直結する証拠は得られていない。捜査に進展は見込めず、県警は動機不明のまま11月以降、殺人容疑で容疑者死亡のまま書類送検する方針だ。(報道部・鈴木悠太、荘司結有)

 県警によると、容疑者の家族や大学関係者らの中で犯行をほのめかす発言などを聞いた人はおらず、インターネットへの書き込みなども確認されていない。ある捜査幹部は「動機が分かるなら誰かに教えてもらいたい」と手詰まりの状況を嘆いた。
 容疑者宅から十数丁のエアガンが見つかり、拳銃奪取目的とみて強盗殺人容疑の適用も検討された。だが、警部補が装備していた拳銃を外そうとした形跡がなく、同容疑での立件を見送った。容疑者宅付近の複数の公園でエアガンを撃つ男性の目撃情報もあったが、事件との関連は薄いという。
 東北学院大は事件翌週に開いた記者会見で、容疑者が卒業論文のテーマに「憲兵制度」を希望していたと説明した。その後の捜査関係者への取材で、容疑者は無政府主義者ら3人が殺害された甘粕事件(1923年)もテーマにできないか、担当教員に相談していたことが新たに分かった。
 同事件では、無政府主義者の大杉栄らが東京憲兵隊の甘粕正彦大尉に絞殺された。甘粕は仙台生まれという接点があるが、県警は「容疑者の動機と結び付けて考えるのは難しい」との見方を示す。
 再発防止への取り組みも進む。県警は交番への防犯カメラ設置に向けた予算要求の準備など、優先度の高い対策から着手。県警本部内に設置された交番等セキュリティ対策プロジェクトチームの担当者は「単なる交番の要塞(ようさい)化でなく、親しみやすい存在にするためオープンに意見交換し、できる対策を順次始める」と説明する。

◎現場の交番 近く再開

 警察官刺殺事件で業務停止中だった仙台東署東仙台交番が、早ければ今月中にも業務を再開する見通しであることが19日、同署への取材で分かった。来週からレイアウト変更や防犯カメラ設置などセキュリティー強化のための工事を実施する。
 事件後は管轄区域を近隣交番がパトロールするなどしているが、周辺住民らから早期再開を望む声が出ていた。東仙台交番近くの会社員女性(20)は「夜勤を終えて帰宅する際、交番に明かりがなく不安だ」と話す。
 同署は「交番便り」を配布するなどして住民に交番再開を伝える。


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2018年10月20日土曜日


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