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<杜の都のチャレン人>見て聴く未知の領域

「絶頂」リハーサル中の大久保さん。コンピューター技術と弦楽四重奏の融合に挑んだ=9月22日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台

◎新しい音楽を追求する作曲家 大久保雅基さん(29)

 スクリーンに映し出された映像はゲームのよう。コンピューターが、サイズや色の異なる立方体で表現された動植物による食物連鎖を作り出し、それぞれの個体数に応じて画面に現れる楽譜を弦楽四重奏が弾く。
 9月22日、仙台市内であった現代音楽のコンサート「絶頂」で、新作「【衝撃】食物連鎖の生態系を作ってみたら…」を披露した。テーマは「BGM化する音楽」。作曲家としての創意工夫を抑え、映像の付属物にしかならない音楽を通じて昨今の音楽の聴かれ方を浮き彫りにすることを狙った。
 「まだ誰も手掛けていない、誰も知らない、新しい音楽を作りたい」と言う。
 曲作りでは、視覚的要素や現代社会を映す視点などを織り交ぜて「音楽なのかどうか微妙な領域を押し進め」、音楽の概念の拡張を図る。コンピューター音楽の技術を用い、生の楽器で奏でる手法を使うのは「コンピューターによる演奏指示に、人間が付いていこうとすることで生じるエネルギーを美しいと思う」からだ。
 大学でコンピューター音楽の作曲を学び、環境音などを用いた音楽を経て、作曲の技法から構築する現代音楽に行き着いた。
 現在は作曲家として新たな表現を追求する傍ら、演劇や広告の音楽や、音響などの仕事で収入を得る。自身の作品を「見て聴いて体験してほしい」との思いは強い。
 「絶頂」は仙台フィルハーモニー管弦楽団の副首席ビオラ奏者飯野和英さん(30)と共に初めて企画。難解と捉えられがちな現代音楽の魅力を伝えようと、自作の他、近現代の弦楽四重奏の名曲を盛り込み、終演後は賛否さまざまな感想が寄せられた。
 「皆さんが『何か言いたい』という気持ちになったのは、印象に残った、心に刺さったということ」。シリーズ化に向けて、手応えを感じている。(ま)

[おおくぼ・もとき]88年仙台市生まれ。洗足学園音楽大音楽・音響デザインコースを経て情報科学芸術大学院大メディア表現研究科修士課程修了。名古屋芸術大デザイン学部などで非常勤講師を務める。16年から太白区在住。


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2018年10月20日土曜日


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