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<法テラス>設立12年、在り方模索 震災後宮城で定着も…「法務省管轄」「低報酬」根強い批判

市民講座で法律問題を解説する法テラス宮城の担当者=仙台市青葉区

 日本司法支援センター(法テラス)の業務開始から10月で12年となった。2018〜21年度の中期目標で法教育を課題事業に位置付け、宮城事務所(仙台市)でも市民向け法律講座に力を入れる。運営には地元弁護士会などの協力が不可欠だが、法務省の管轄に対する批判や不満は根強く、組織の在り方の模索が続く。

 「皆さんが法律で困った時の道しるべのような存在です」。9月下旬、宮城事務所が仙台市内で開いた市民講座。約30人の参加者に担当者は法テラスの意義を強調した。
 この日のテーマは相続問題。トラブルを避ける遺言の残し方や成年後見人について、弁護士が事例を交えて紹介した。
 宮城事務所の10年度以降の無料法律相談件数の推移はグラフの通り。東日本大震災の被災者向け特例無料相談業務が加わった12年度以降は毎年、2万件超で推移する。
 佐々木一之事務局長は「知名度が上がり『法律問題で困ったら法テラスに』と考える人が増えた」とみる。相談は離婚や相続、債務整理が大半という。
 相談業務の多くを担う仙台弁護士会の会員増加も追い風となっている。10年に330人だった会員数は司法試験の合格者増などで18年4月現在、453人に増えた。契約弁護士数は民事扶助、国選弁護ともに会員全体の8割を超える。
 一方で、法テラスが刑事弁護分野に関与することに違和感を持つ弁護士もいる。法廷で対峙(たいじ)する検察庁を所管する法務省傘下の法テラスが介在すると「弁護士の独立性が脅かされかねない」(ベテラン弁護士)との懸念からだ。
 対価にも不満の声が出ている。法テラス契約者から選任される国選弁護人の報酬は接見回数や審理時間などで一律算定され、必ずしも弁護活動の実態に見合っていない。ある中堅弁護士は「法教育もいいが、低い報酬を何とかしてほしい」とこぼす。
 宮城事務所長の高橋春男弁護士(仙台弁護士会)は「法テラスは依頼者と受任者(弁護士・司法書士)双方の立場や利益を考えるのも役割。不満や批判も受け止めて改善し、組織をより発展させたい」と話す。

[日本司法支援センター(法テラス)]2006年、法律相談先の集約化を目的に国の出資で設立された。業務は無料法律相談や民事訴訟での費用扶助、刑事事件の国選弁護人選任事務を中心に、司法過疎対策、犯罪被害者支援など多岐にわたる。


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2018年10月22日月曜日


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