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<山形大雨>2度も浸水、募る不信 戸沢村蔵岡地区、国が設置した排水ポンプ、2回とも機能不全

今年1月に完成した排水ポンプ場。8月の大雨では2度とも被害を防げなかった

 今年8月の大雨で2度にわたり、住宅などの浸水被害に見舞われた山形県戸沢村蔵岡地区の住民が河川管理者の国に対し、不信感を強めている。国は内水氾濫が発生しやすかった同地区に排水ポンプを今年新設していたが、2度とも機能不全に陥った。国は対策として「輪中堤」を構想するものの具体性に乏しく、国の本気度に対する疑念は消えていない。(新庄支局・菅野俊太郎)

<これじゃ人災>
 「ポンプが新設され、安心だと思っていた」「これじゃ、人災ではないか」
 東北地方整備局新庄河川事務所と県、村が14日、蔵岡地区の公民館で共催した説明会。出席者からは激しい憤りや不満を訴える声が相次いだ。
 蔵岡地区は最上川沿いの低地に位置する。集落東側に角間沢川が流れ、最上川の水位が上昇すると角間沢川の流れが滞り、内水氾濫が発生しやすい。
 国土交通省は今年1月、角間沢川の水を強制的に排出する電動ポンプを新設。従来のポンプの4倍に当たる毎秒2トンの排水能力があるとされたが、8月5〜6日の1回目の大雨では停電で作動しなかった。同30〜31日の2回目の大雨でも排水が追い付かず、浸水被害を防げなかった。

<「予見不可能」>
 新庄河川事務所によると、集落近くの観測点の8月6日までの24時間降水量は県内最多の366ミリ。これに対し、国がポンプを設計する際に基準とした2013年7月の水害時の24時間降水量は166ミリだった。
 8月の水害時、角間沢川の水量は毎秒30トンに達していたとして、担当者は「停電せずにポンプが稼働したとしても浸水被害は防げなかった」と説明。予見不可能な大雨が原因との立場を崩さなかった。
 国側は新たな対策として輪中堤の整備を提案したものの、「現段階では構想の一つ」(河川事務所の担当者)。具体的な規模や整備スケジュールは示さなかった。
 参加者からは「堤防がどれだけの高さになるのか」「施設が完成するまで有効な対策はあるのか」といった質問が続出した。国は住民の意見を踏まえて具体的な対策を検討すると約束したが、出席者の怒りは収まらなかった。
 東北大の田中仁教授(水工学)は「技術的には排水能力を高めたり、角間沢川の堤防を上げたりする対策が考えられるが、ハードだけで水害を小さくするのは難しいだろう。地域に応じた方法を住民と共に考える必要がある」と話している。

[輪中堤]集落や耕地を水害から守るため、周囲を囲むように造られる堤防。木曽川、長良川、揖斐川の下流の濃尾平野でよく見られる。蔵岡地区に導入される場合は、山がちな集落南側からの浸水も防ぐ構造が想定される。


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2018年10月22日月曜日


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