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<福島知事選 揺れる一票>さまよう県外避難者(1)被災者忘れず支えて

旧騎西高前で避難生活を振り返る関根さん=埼玉県加須市

◎双葉町→埼玉・加須市 関根茂子さん

 任期満了に伴う福島県知事選(28日投開票)に、県外避難を続ける有権者の思いが揺れている。東京電力福島第1原発事故から7年7カ月が過ぎ、古里の行方を気に掛ける一方、自分たちの存在が忘れ去られていくとの不安が募る。現職と新人の計4人が争う知事選に、一人一人が何を託すのか。

 選挙があるたび、必ず一票を投じてきた。今回もそう。古里から遠く離れた避難先に開設される投票所に足を運ぶつもりだ。
 「ここが第二の古里と思えるようになっても、やっぱり第一は福島。つながりを持ち続けたい。住民票を移せずにいるのも、そんな思いがあるから」
 福島県双葉町から埼玉県加須市に避難するパート関根茂子さん(67)。2013年末まで避難所となった旧騎西高の正門前で、古里に寄せる思いを口にした。
 東日本大震災時に暮らしていた双葉町の自宅は被災を免れ、家族は無事だった。しかし、海から歩いて3分ほどの実家が流失し、親族3人が犠牲になった。
 原発事故で全町避難となり、旧騎西高の避難所に身を寄せた後、市内の借り上げ住宅に移転。16年に家を建て、夫(71)、長女(43)と3人で暮らす。
 双葉町民らを支援するNPO運営の施設に週3回勤務。町民と加須市民が囲む昼食作りなどを担当する。
 「加須の人たちに支えられてここまで来た」。避難先が定住先として、新たな古里となってきたのを実感する。
 それでも「福島に帰りたい」という気持ちが消えたわけではない。
 震災月命日の毎月11日、旧騎西高を訪れて親族3人の冥福を祈る。
 埼玉県は旧騎西高をサッカー施設に改修する計画。校庭は人工芝グラウンド、体育館はフットサル場、校舎の一部はクラブハウスになる。
 それでも、一時は双葉町役場が置かれ、最大1423人が暮らしたことに変わりはない。今も双葉とつながる大切な場所だ。
 立候補者4人の演説をじかに聞く機会はない。詳しい公約もよく分からないが、一票に込める思いはいつの選挙も変わらない。
 「震災を風化させず、被災者の存在を忘れない。みんなの心の支えになってくれるような人に託したい」(福島総局・阿部真紀)


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2018年10月22日月曜日


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