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<福島知事選 揺れる一票>さまよう県外避難者(2)失望大きく関心薄く

大熊町選管から届いた不在者投票案内の文書を確かめる玉沢さん=茨城県北茨城市

 任期満了に伴う福島県知事選(28日投開票)に、県外避難を続ける有権者の思いが揺れている。東京電力福島第1原発事故から7年7カ月が過ぎ、古里の行方を気に掛ける一方、自分たちの存在が忘れ去られていくとの不安が募る。現職と新人の計4人が争う知事選に、一人一人が何を託すのか。

◎大熊町→茨城・北茨城市 玉沢 優子さん

 任期満了に伴う福島県知事選の不在者投票の案内が届いた。1週間放置した末、封書を開けてみたが、投票するかどうか迷いは消えない。
 「不在者投票って、手続きが面倒そう」。それより、福島に対する関心が薄らいできたというのが正直な気持ちだ。
 同じように近くに避難している友人に「投票に行く?」と聞いてみた。やっぱり「おらに関係ねぇ」って答えが多かった。
 玉沢優子さん(56)の自宅は福島県大熊町にあった。東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定され、除染土壌を保管する中間貯蔵施設の建設予定地になり、国に売却した。
 会津若松市の仮設住宅で暮らしながら、自宅の再建を検討。「会津はいいところ。でも雪には慣れない」と茨城県北茨城市に新築した。
 引っ越して4年。近くにスーパーがある。避難者仲間約40人とサークルを結成し、会長になった。一緒にピザを作ったり、陶芸に挑戦したり。地域になじんできたとも感じている。
 対照的に福島との距離は広がった。大熊の情報は町の広報やホームページを通じて知る程度だ。「行政にとっても同じ。私たち避難者が遠い存在になっているかも」。そう思うことがあった。
 福島県は本年度、東電からの寄付を基に避難者の家賃を支援している。職場の関係などで、いわき市にそれぞれ暮らす夫(62)と長女(26)も対象だが、振り込みが遅れている。
 「電話で『確認します』と言われたきり、折り返しがない。おざなりにされているような気がする」
 「何で今更?」と腹が立ったことも。今年に入り、大熊町から「町内に分譲地を造る。帰還しないか」と声を掛けられた。
 「地域のみんなと一緒に戻れるなら戻りたかった。県が自治体を主導する形で道筋を示してくれていたら…」。残念でならないというのが本心だ。
 期待と失望。県に対する思いは「失望の方が大きいかな」と語る。それも投票に行くかどうか、迷う理由の一つかもしれない。(福島総局・柴崎吉敬)


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2018年10月23日火曜日


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