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<福島知事選>視点論点(下)立命館大准教授・開沼博さん 復興のゴール示して

[かいぬま・ひろし]いわき市生まれ。東大大学院学際情報学府博士課程満期退学。福島大特任研究員を経て、2016年から立命館大衣笠総合研究機構准教授。著書に「はじめての福島学」など。専攻は社会学。34歳。

 任期満了に伴う福島知事選(28日投開票)はいずれも無所属の現職と新人の計4人が、東京電力福島第1原発事故からの復興策などを訴えている。選挙戦で問われている課題や、求められるリーダー像をどう考えるか。福島ゆかりの3人に聞いた。(聞き手は福島総局・神田一道)

 −知事選で語られるべき論点は。
 「今後の4年は『エンドステート』がキーワードになる。落としどころや最後にどうしたいかという話。例えば(東京電力福島第1原発事故で被災した)福島県楢葉町の住民の帰還率は50%だが、エンドステートをどうするか。100%を目指すのもいいし、意識が高い少数精鋭の50%でやるという話もあっていい。新しい住民を受け入れるという考えもある」
 「復興庁もそう。みんな『終わるな』と言うが、永遠に続けるのは無理。後継組織ができても、いつまでに何をやるべきかというエンドステートを見ていかないといけない」

<政治に軸を>
 −この4年の県政運営をどう見る。
 「政治と行政の二つを股にかけて君臨するのが知事の立場。行政は決まった制度や予算を計画通りに進め、船で言えばエンジン。政治は大きなかじを切ったり、進むスピードを決めたりすること」
 「この4年は行政に軸を置いてきた運営で、それは必要なことだった。これからは明確に政治が求められる。進む方向や課題の所在を示す必要がある」

 −福島の行方をどう考える。
 「福島の経済指標は明らかに高止まりしている。(住宅地の)地価上昇率は直近でも全国6位。求人倍率も高い。だが、復興バブルは間もなく終わる。2020年度で復興庁もなくなり、東京五輪・パラリンピック後の景気が不透明な問題もある。今後の4年間はドラスチックなことが必然的に求められる。何をやるかが知事選で問われている隠れたアジェンダ(政策課題)だ」

<構想見えず>
 −選挙戦は沖縄県知事選のようには盛り上がっていない。
 「基地問題ほど分かりやすいゴールが福島にないからだ。しかし、違うゴールをもっと示す候補者が出てきてもいい。ゴール設定の議論がない中、プロセスをぼんやりしゃべっているのが福島の現状。(各候補は)エンドステートをそもそも発信していないし、構想もできていない。明確なアジェンダセッティングがされていないと思う」

 −求める知事像は。
 「ストーリーを描いてほしい。(浜通り地方に新産業を集積させる)福島イノベーション・コースト構想は、ロボットテストフィールドを造るといった個別の課題は解決されているように見えるが、ストーリーは足りない」

 −具体的には。
 「人口が減少した南相馬市小高区で(小型無人機の)ドローンによる宅配の実証実験を行う。自動運転車を多く走らせ、高校生が通学する。こんな『未来都市を造る』といったストーリーをぶち上げてほしい」
 「ストーリーを描けば国の規制や予算の問題に直面する。それを解決するのが知事。みんなが夢を見られるストーリーを各候補は描けているか。中央と地元という絶妙な力関係の真ん中に立つ知事の役割を果たすことを期待している」


関連ページ: 福島 政治・行政

2018年10月23日火曜日


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