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<福島知事選 課題の現場>会津地域、深刻な高齢化と人口減 地域の再生へ地道な努力、埋没危惧

雄大な只見川の景観を売りに誘客するJR只見線。川沿いに集落が点在する=福島県金山町

<住民との温度差>
 JR只見線は2011年7月、新潟・福島豪雨で甚大な被害があった。会津川口(福島県金山町)−只見(只見町)間の27.6キロは今も不通が続く。
 復旧工事は今年6月、ようやくスタート。21年度の全線再開を目指す。
 只見線は元々、高齢化と過疎化が著しい地域を走る全国指折りの赤字路線。福島県は「日本一の地方創生路線にしよう」と懸命だ。
 観光客が利用する路線にシフトして交流人口を増やし、官民一体で地域の衰退を食い止める−。県は駅を拠点にした周遊バスといった2次交通網の整備などに取り組む。
 しかし、住民の受け止め方は一様ではない。
 金山町長選(9月30日投開票)は、観光振興か高齢者対策の充実化かを巡り、現職と新人の主張が真っ向から対立した。
 約400票の「大差」で勝利したのは新人。「人間ドック費の補助復活」「除雪支援の強化」など、高齢者対策を掲げていた。町議の一人は「どちらも大事だが、観光振興の必要性への意識は、行政と住民とで温度差がある」と解説する。

<都会から移住者>
 福島県は、東京電力福島第1原発事故からの復興とともに人口減対策が大きな課題となっている。事故前に202万を超えていた推計人口は16年11月、戦後初めて190万を割り込み、今年9月1日現在では186万まで減った。
 中でも深刻なのが会津地域。65歳以上が占める高齢化率、人口減少率は表のように、県内上位5自治体は全て会津地方だ。
 地域は交流人口の拡大に地道に取り組んできた。金山町に隣接する三島町。6月恒例の「工人まつり」は今年32回目を迎えた。
 地元の編み組細工をはじめ全国の工芸職人が集う。2日間の来場者は約2万5000人。人口1600余の15倍に達する。
 町は1970年代から、手仕事を見直す「生活工芸運動」を継続。活動はようやく実り、都会などからの移住者は震災後、若者を含め約30人に上る。
 矢沢源成町長は「人口減に特効薬はないが、地域資源を生かして減少を緩やかにする方向性に間違いはない」と確信する。

<国は効率化重視>
 だが、加速する人口減に、不穏なニュースも流れてきた。総務省の研究会が、行政主体を複数の市町村で構成する「圏域」にするよう法制化を求めた報告書をまとめた。
 矢沢町長は「人口減は避けられないが、地域再生に地道に取り組んできた地方の努力に逆行する」と指摘。国が効率化重視に傾きかねないと危惧する。
 知事選(28日投開票)でも人口減対策は重要な論点の一つだが、原発事故からの「復興」の大号令を前に埋没しかねない。
 「県は原発事故と同様、会津が直面する人口減などの課題解決を、国に強く訴えてほしい」。矢沢町長は訴える。(会津若松支局・玉應雅史)


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2018年10月23日火曜日


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