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<福島知事選 揺れる一票>さまよう県外避難者(3)元の街並み再生願う

いわき市内に手に入れた家で避難生活について語る矢内さん夫妻。新潟県から頻繁に通う生活を続けている

 任期満了に伴う福島県知事選(28日投開票)に、県外避難を続ける有権者の思いが揺れている。東京電力福島第1原発事故から7年7カ月が過ぎ、古里の行方を気に掛ける一方、自分たちの存在が忘れ去られていくとの不安が募る。現職と新人の計4人が争う知事選に、一人一人が何を託すのか。

◎富岡町→新潟・柏崎市 矢内 豪さん

 避難生活を続ける新潟県柏崎市から地元の福島県富岡町へ。矢内豪(すぐる)さん(84)はほぼ毎月、妻の恵佐女(いさお)さん(78)と運転を交代しながら、片道約350キロの道のりを車で走る。
 富岡に入ると、嫌でも家屋の解体工事が目に留まる。「がっかりしてばかりだ」。変わりゆく街並みに落胆してしまう。
 だからこそ、任期満了に伴う福島県知事選(28日投開票)について「大規模開発を進めることが復興なのかどうか。それより、元の街並みを取り戻してほしい」と強く願う。
 富岡町中心部でクリーニング店を営んでいた。東京電力福島第1原発から約9キロ。原発事故で居住も営業もできなくなった。
 避難先の柏崎は長女の嫁ぎ先。新潟県新発田市の避難所を経て2011年4月、長女の家近くのアパートを借り、妻と2人で暮らし始めた。
 およそ7年半。柏崎での暮らしはすっかり落ち着いた。自治会活動にも参加。「途中のガソリンスタンドで頂いたおにぎりがありがたかった」と避難について話す機会が何度かあった。
 富岡とのつながりも保っている。店舗は取り壊したが、妻が今も商工会の集まりに顔を出している。会社員の長男が暮らすいわき市に中古物件も手に入れた。
 ただ、古里に対する思いは揺らいでいる。
 「新潟から福島に着いた時、以前は『帰ってきた』と感じていた。それが今は逆」。矢内さんは寂しそうな表情を見せる。
 今回の知事選では「街並み再生」に加えてもう一つ、言いたいことがある。原発事故への対応だ。
 新潟県知事選ではこれまで、東電の柏崎刈羽原発の再稼働問題が争点になり、歴代知事が慎重な姿勢を示してきた。県は福島第1原発事故の原因などに関する検証も続けている。
 新潟ができて、どうして福島ができないのか。矢内さんは「これだけ悲惨な事故を経験した福島県こそ、しっかり事故の検証を行うべきだ」と強調する。(福島総局・阿部真紀)


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2018年10月24日水曜日


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