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<福島知事選 揺れる一票>さまよう県外避難者(4完)若者の「誇り」育てて

創作料理店を営む高崎さん。「いつか、郡山で店を開きたい」と語る=東京都世田谷区

 任期満了に伴う福島県知事選(28日投開票)に、県外避難を続ける有権者の思いが揺れている。東京電力福島第1原発事故から7年7カ月が過ぎ、古里の行方を気に掛ける一方、自分たちの存在が忘れ去られていくとの不安が募る。現職と新人の計4人が争う知事選に、一人一人が何を託すのか。

◎双葉町→東京 高崎 丈さん

 福島県双葉町にあった自宅の周辺は、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となった。東京に避難し、家族5人で暮らす。住民票も思い切って移した。
 だから、福島県知事選(28日投開票)の選挙権はない。でも言いたいこと、期待したいことはある。
 「若者の挑戦に投資してほしい」。例えば、無農薬野菜を手掛ける農家などが集う催しや出店費用に対する支援があるといい。「何より、自分たちの活動に対する『誇り』が育つ。それが原発事故の風評払拭(ふっしょく)にもつながる」
 東京・三軒茶屋駅近くのビル2階。高崎丈さん(37)は創作料理店を営む。
 店名は「JOE’SMAN(ジョーズマン)2号」。双葉町で構えていた店舗名に「2号」を加えた。
 地元の高校を中退。東京の調理師学校を経て飲食店に勤務した。20代後半で地元に戻り、JR双葉駅前に海鮮が自慢の料理店を出した。
 なじみの客がついた。ただ、福島の現状には不満があった。「若者の活力が生きていない」と物足りなさを感じていた。
 原発事故後、間もなく家族で避難した。神奈川県を経て東京へ。店を開いて4年になる。魚の串焼きなどが自慢だ。「ようやく軌道に乗ってきた」
 福島で感じた物足りなさの正体にも気付いてきた。調理師学校時代の友人から話を聞き、兵庫や京都など全国各地のイベントについて調べた。
 自給自足で生きる若手農家、研究を重ねる酒蔵…。「本物」を求める人々が集い、地元も後押しする。刺激的な地域があちこちにあった。
 知事選の立候補者どころか、今の知事がどんな人か、県の施策もよく分からない。でも、福島も若者が刺激を受けられる地域になってほしい。
 高崎さんは店舗に約20種類の福島の地酒を置く。いずれも、自分の舌で確かめ、材料や酒蔵の思いに共感できた日本酒だ。
 「両親が避難生活を送る郡山で、いつか店を開きたい。その前に、まずは東京で一旗揚げたい」(福島総局・柴崎吉敬)


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2018年10月25日木曜日


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