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<いじめ>教育環境の改善進まず 解消率小中とも悪化

 文部科学省が25日公表した2017年度の児童生徒問題行動・不登校調査で、1000人当たりの宮城県のいじめ認知件数は全国で3番目に多く、不登校児童生徒数は最多となった。16年度と同じ高い水準で推移し、子どもを取り巻く教育環境の改善が進まない現状が改めて浮き彫りになった。

<不登校/不安や無気力要因>
 県内の不登校中学生は1000人当たりで3年連続の全国最多となった。小学校は5番目、高校は4番目の多さだった。小中学校、高校の全てで16年度から増加した。
 校種別では小学校771人(1000人当たり6.6人)、中学校2657人(43.0人)、高校1499人(24.5人)。このうち通学を再開したのは小学校194人、中学校782人、高校537人だった。
 不登校となった児童生徒の本人要因として最多だったのは、小中学校が「不安の傾向がある」で、それぞれ約3割を占めた。高校は「無気力の傾向がある」(34.7%)だった。
 仙台市では不登校の小学生が359人(1000人当たり6.8人)、中学生が1210人(47.2人)に上った。
 県教委は「不登校の要因は複雑で多様だが、東日本大震災の影響もあるのではないか」と説明する。

<いじめ/解消率小中とも悪化>
 県内のいじめ認知件数は1万9455件で16年度より167件増えた。中学校と高校はやや減ったが、小学校が139件増、特別支援学校が66件増となり全体を押し上げた。児童生徒1000人当たりの件数は79.5件で、宮崎、京都に続いて全国で3番目に多かった。
 いじめの態様を複数回答で聞くと「冷やかしやからかい等」が小中高と特別支援学校の全てで最も多かった。中学校は71.6%に上った。2番目に多かったのは小学校が「軽くぶつかられたりたたかれたり等」(29.1%)、中学校は「仲間はずれ、集団による無視」(16.7%)。スマートフォンが浸透する高校は「パソコンや携帯電話等で誹謗(ひぼう)中傷」(14.1%)だった。
 いじめ解消率は小学校91.7%、中学校86.3%で、共に悪化した。文科省の指針が17年3月に改定され、いじめ解消の要件の一つに「いじめがない状態が少なくとも3カ月継続」と明記されたため、各校が慎重に判断したとみられる。
 増え続けていた仙台市のいじめ認知件数は1万4132件で、16年度より796件減った。ただ、1000人当たりは173.5件で、政令市平均(40.0件)を大きく上回る。市教委は「ささいなことも見逃さず、全てのケースで丁寧に対応する」と強調する。

<暴力行為/小学校での発生が急増>
 暴力行為の発生件数は県内の小中学校、高校で計1442件。中学校と高校は16年度比で減少したが、小学校は1.6倍の711件に増加した。
 小学校の発生学校数は103校(16年度比19校増)で、加害児童数は342人(26人増)。形態別では、生徒間暴力が324件(55件増)で最も多かったが、教員への暴力が16年度の2.7倍の300件に上った。中学校の発生件数は600件(26件減)、高校は131件(26件減)だった。
 仙台市の小中学校、高校での暴力行為の発生件数は745件(144件増)だった。

◎学校に危機感乏しい 第三者機関が調整を 有識者ら指摘

 県内のいじめ認知件数が高い水準で推移する中、仙台市では17年4月、青葉区の折立中2年の男子生徒が教諭から体罰を受けた上、いじめを訴えて自殺した。
 全国自死遺族連絡会(仙台市)の田中幸子代表理事は「学校が危機意識を持って対応しないことが一番の問題。子どもの必死の訴えを全力で受け止めてほしい」と求める。
 不登校の増加にも歯止めがかからない。県内の元小学校長は「教職員がチームとなって解決すべきなのに、危機感が乏しい校長がいるのも確か。学校経営ができていない」とこぼす。
 「子どもたちのつらい思いを取り除く仕組みづくりが急務だ」と話すのは、仙台市いじめ対策等検証専門家会議委員の庄司智弥弁護士。いじめの相談に応じ、解決に向けて学校などと調整する第三者機関の設置を提案する。
 県いじめ防止対策調査委員会で委員長を務める東北大大学院の野口和人教授は、子どもたちへの支援やいじめに対応する態勢強化の必要性を指摘。「他者を価値ある存在として尊重することを、子どもたちに丁寧に教えていくことが大切だ」と述べた。


関連ページ: 宮城 社会 いじめ自殺

2018年10月26日金曜日


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