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<西澤潤一さん死去>闘う研究者 世界に挑む不屈の魂

半導体研究所で研究員を指導する西澤さん=2007年2月、仙台市青葉区

 パソコンなど電子機器の飛躍的な発展に貢献した半導体。高速通信社会の基盤となった光ファイバー。21日に92歳で亡くなった元東北大総長の西澤潤一さんは、現代のIT社会に必要不可欠とも言える先駆的な技術を発明、開発した。それを生み出したのは、世界の最先端技術に闘いを挑み、上回ることに執念を燃やした西澤さんの不屈の研究魂だった。
 「ミスター半導体」の異名を取った西澤さんだったが、元々は数学か物理の専攻を希望していた。当時の東北大工学部教授の父恭助さんに反対され、折れた。1948年に同大工学部電気工学科を卒業し、特別研究生(現在の大学院生)となってからは、寝食を忘れて研究に取り組み、ミスター半導体の礎を築いた。
 まだ20代だった50年にPINダイオードを発明し、特許申請した。今ではスマートフォンにも活用されている技術の一つだ。だが当時、欧米が主流の科学技術の世界で不当な扱いを受け、無視された。そのため日本企業は、同じ特許申請をしていた米ゼネラル・エレクトリックに膨大な特許料を払って契約したという。
 そうした不遇が、世界と闘う西澤さんの精神を培った。
 数々の先進的な研究、開発を進めながら、米国シリコンバレーをモデルにした半導体研究所を61年に創設。西澤さんは所長として後進の育成に当たり、ノーベル賞クラスと称される研究者たちも輩出した。2008年、研究所は東北大に寄贈された。
 東北大電気通信研究所(通研)の所長として西澤さんの8代後輩になる同大特任教授の中沢正隆さん(66)は「半導体や光通信の研究内容の説明になると鋭いまなざしに変わり『闘う研究者』の一面が見られた」と振り返る。
 「東北大通研の光通信といえば最先端の研究と世界中に理解されているのに、予算面などで恵まれなかった。だからこそ、西澤先生は世界最先端の研究を進めた。不屈の精神があってのことだと思う」と偉大な故人をしのんだ。


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2018年10月27日土曜日


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