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<宮城県南へウエルカム>バス運行で2次交通整備

蔵王、村田、川崎の3町が試験運行する「みやぎ蔵王三源郷エアポートライナー」=仙台空港

◎インバウンド誘致は今(3)移動する

 外国人のモニターツアー客が大型のトランクケースを積み込む。準備が整うと、バスは仙台空港から蔵王方面に走りだした。
 路線の名称は「みやぎ蔵王三源郷エアポートライナー」。蔵王、村田、川崎の3町が15日に試験運行を始めた。訪日外国人旅行者(インバウンド)を呼び込むのが狙いだ。

<貸自転車も用意>
 遠刈田温泉(蔵王町)や蔵の町並み(村田町)、国営みちのく杜の湖畔公園(川崎町)。新路線は3町の観光名所や役場計7カ所と空港を40分〜1時間50分程度で結ぶ。
 県南は縦軸に鉄道が走る一方、横軸の交通網が弱い。鉄路が通っていない3町にとって、高速バスの運行による2次交通の整備は大きな宿題だった。
 15日に仙台空港であった式典。佐藤英雄村田町長は「集客と交通。二つの課題を解決し、地域活性化につなげたい」と意気込んだ。
 各停留所に無料の貸自転車を計30台置き、3次交通の手段も用意した。バスは来年3月まで走らせ、旅行者の需要を見極める。
 大きな荷物を抱える外国人旅行者に、高速バスは2次交通の有力な選択肢だ。タクシーや鉄道と比較し、低料金で目的地に直結する利点がある。

<採算ベース課題>
 ただし、仙台空港発着の高速バスを採算ベースに乗せるのは簡単ではない。空港からの移動手段として、JRに乗り入れる仙台空港アクセス鉄道が定着しているからだ。
 タケヤ交通(川崎町)が昨年9月から、湖畔公園や秋保温泉(仙台市太白区)を空港と結ぶ「仙台西部エアポートライナー」も苦戦を強いられている。
 昨年度は1500回近く運行し、利用者は約500人。今年6月にJR仙台駅前を経由する便も始め、乗降客は増えつつあるが、まだまだ軌道には乗っていない。この路線だけで月に約250万円の赤字が出ている計算になる。
 地元を元気にしようと、同社は行政から運営の補助金を受けずに運行を続ける。大宮利幸社長(58)は「おとこ気だけでやっている状態」と表情を曇らせる。
 空港内の乗り場案内表示や海外へのPR活動−。望むのは、路線の知名度向上に向けた仙台空港や県の側面支援だ。
 「バスの存在さえ知ってもらえれば、外国人旅行者のニーズは必ずある」。逆風を受けても、大宮社長の確信は揺るがない。
(大河原支局・柏葉竜)


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2018年10月30日火曜日


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