宮城のニュース

<宮城県南へウエルカム>財源確保へ DMO正念場

農家に宿泊するインバウンドを案内する斉藤代表(右から2人目)

 宮城県南4市9町が訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致に連携して取り組んで3年目になる。一部の地域は観光客が増えたが、全体に効果が及んでいるとはいえない。豊かな自然と伝統文化に恵まれたポテンシャルを生かし、地方創生にどう結びつけるか。試行錯誤する県南を歩いた。(6回続き)

◎インバウンド誘致は今(4)つなぐ

 「有機農業は作業が大変だと思う。リスペクトします」。中国と台湾からの訪日外国人旅行者(インバウンド)ら3人が6日、丸森町内の古民家に宿泊し、農家と交流した。
 町のサイクリング行事に合わせ、インバウンドら30人がホームステイした「イベント民泊」の一コマだ。観光地域づくり推進法人「宮城インバウンドDMO」(同町)が企画した。人の交流を観光資源とし、リピーターを増やす狙いがある。

<宿泊客増手応え>
 DMOは2017年3月、同町と仙台市の民間2社が主導し県内で初めて設立され、注目と期待を集めた。海外の旅行代理店やメディアへのプロモーション、モデルツアーなどを展開。県南の17年度の入り込みを約3万9600人で前年度比160%、消費額は約5億3000万円とはじいた。
 小原温泉(白石市)の「ホテルいづみや」の四釜均社長(68)は、インバウンドの宿泊客増加を実感する。以前は近隣である催事の前後に数人から十数人の小グループが泊まる程度だったが、今年7月にはDMO関連の団体ツアーを2回計約100人受け入れた。
 四釜社長は「DMOを通じたつながりや、接客セミナーで学んだことが実を結びつつある。渓谷美の温泉街は、旅慣れたインバウンドに気に入ってもらえるはず」と手応えを口にする。
 温泉街は昨秋に老舗旅館が事業を停止し、今は点在する3館と寂しくなった。「インバウンドを機に、小原温泉を元気にしたい」。四釜社長は期待を込める。

<地域商社を設立>
 DMOの斉藤良太代表(36)は「インバウンドの対応意識が向上した事業者が着実に出てきた。ただ、それに続く層が広がらないと、地域全体が盛り上がらない」と危惧する。
 背景には、時間との闘いがある。
 DMOの主財源は、自治体の業務委託を通じて入ってくる東北観光復興対策交付金だ。当初3年間の制度で、本年度が最終年度とされていた。「20年東京五輪・パラリンピックまでは継続される」との見方が多いが、その後は先細りが避けられそうにない。
 DMOは4月、丸森町などと出資して地域商社「GM7」を設立した。収益事業を商社に集中させ、ビジネスベースを確立する戦略だ。
 斉藤代表は「民間ビジネスの加速とともに、公共部門も流れを止めないことが重要だ。金の切れ目が事業の切れ目にならないよう、行政と両輪で長期プランを作りたい」と語る。(角田支局・会田正宣、白石支局・村上俊)


関連ページ: 宮城 社会

2018年10月31日水曜日


先頭に戻る