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<宮城県南へウエルカム>進まぬ連携 積年の課題に

県南サミットで一堂に会した4市9町の首長ら。インバウンド誘致は話題にならなかった

 宮城県南4市9町が訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致に連携して取り組んで3年目になる。一部の地域は観光客が増えたが、全体に効果が及んでいるとはいえない。豊かな自然と伝統文化に恵まれたポテンシャルを生かし、地方創生にどう結びつけるか。試行錯誤する県南を歩いた。(6回続き)

◎インバウンド誘致は今(5)結ぶ

 県南4市9町の首長が村井嘉浩知事と地域課題を話し合う「県南サミット」が8月下旬、角田市であった。だが、訪日外国人旅行者(インバウンド)誘致は話題に上らなかった。

<個別に取り組み>
 4市9町の「宮城インバウンドDMO推進協議会」(会長・保科郷雄丸森町長)は、昨年2月の同サミット会場で設置された。1年半がたつ今、4市9町の連携は盛り上がりに欠ける。
 推進協の事務局を務める丸森町が本年度、4市9町分のプロモーション事業などで申請した東北観光復興対策交付金は、2億3000万円の要望に対して交付決定が約5600万円と大幅に削られた。
 もっとも、同交付金は個別に県南に落ちている。柴田、大河原両町は「白石川堤一目千本桜ブランド化」事業で計約6500万円。蔵王、村田、川崎3町の「みやぎ蔵王三源郷交通アクセス向上」事業は約2500万円。白石市と蔵王町のプロモーション事業約3600万円など、合計では約2億1500万円になる。
 要望の林立に、丸森町の担当者は「国内旅行客でさえ市町の境を意識しない。互いの良さをPRし合い、一体で取り組まないと効率も悪い」と漏らす。
 交付金申請を受け付ける東北運輸局の担当者は「全体のパイの中で優先順位が判断される」と説明しながら、「自治体ごとに望む事業があるのだろうが、本来はグランドデザインに沿って連携するのが望ましい」と気をもむ。

<リーダー格不在>
 平成の大合併では、大河原、村田、柴田の3町、角田、丸森の2市町、亘理、山元両町で法定合併協議会による協議が行われたが、全て頓挫した。まちづくりを競い、切磋琢磨(せっさたくま)するのが県南の長所である半面、連携や役割分担の弱さが積年の課題として指摘される。
 長谷川洋一県議(角田・伊具)は「広域連合などの形で、人口減対策や地方創生について話し合う土俵をつくることが理想的。インバウンドは格好のテーマだ」と提言する。
 政治関係者の中には、かつての川井貞一元白石市長らのように県南をまとめる強いリーダーシップを持った首長がいない、とこぼす向きもある。
 当選回数最多の5期目で県南のリーダー格の一人である滝口茂柴田町長は「市町単独では海外に十分な情報発信ができず、県南全体でアピールした方が有効」と強調する一方、こう付け加える。
 「県南の中でも観光地として知名度に違いがある。各地域が現状や特長に応じた施策を展開することも必要だ」
(角田支局・会田正宣、大河原支局・柏葉竜)


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2018年11月01日木曜日


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