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<TPP>12月30日発効 東北の生産者、不安と期待

 環太平洋連携協定(TPP)が年内に発効する見込みとなった31日、関税引き下げの影響を受ける東北の農業の現場には不安や懸念が広がった。国内消費が先細りする中で、海外市場の開拓に活路を求める生産者は期待感をにじませた。
 ブランド「仙台牛」となる黒毛和牛など180頭を飼育し、みやぎ登米農協肉牛部会長を務める登米市の畜産業佐々木敏朗さん(68)は「関税が下がれば安い輸入牛肉が大量に出回る。輸入牛肉に引っ張られて国内ブランド牛の値段も下がる」と警戒を強める。
 牛肉の関税は現行の38.5%から16年後には9%まで引き下げられる。子牛の価格高騰が続く中で、佐々木さんは「赤字は必至だ。仙台牛を輸出すればいいという話もあるが、経費がかかり、利益がどれほど出るか分からない」と言う。
 前沢牛などブランド牛の産地を抱える岩手県。農協関係者は「肥育、繁殖農家は皆、不安に思っている。国の支援メニューなどを見極め、対策を講じたい」と気を引き締めた。
 日本にとって最重要品目のコメ。高関税は維持されるが、豪州産には無関税輸入枠が導入される。
 大仙市の兼業農家高橋昭さん(67)は「国内市場にどう影響するか見通しがつかない」と不安視。新庄市の農業高橋保広さん(72)も「遺伝子組み換え作物など食の安全が脅かされかねない」と懸念する。
 秋田市の専業農家田村元さん(56)は「国内消費が限られ、農家も海外に打って出ないと立ち行かなくなる」との見方を示し、「質の高い秋田のコメは海外でも勝負できるはずだ」と前向きに捉える。
 工業品輸出には追い風とみられている。みやぎ工業会(仙台市)の青沼広利専務理事は「米国の保護主義的な貿易の拡大が懸念されており、自由貿易推進の原動力になってほしい」と期待を寄せた。


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2018年11月01日木曜日


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