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<東北・ガソリン価格>160円台目前 供給・運送業者ら不安

仙台市郊外のガソリンスタンドでは150円台後半のレギュラー価格が続いている

 東北のレギュラーガソリンの平均小売価格が5月に1リットル当たり150円台を突破して以降、上昇基調で推移し、2014年に記録した160円台に迫っている。ここ数年は米国の新型原油「シェールオイル」の生産が本格化して安値が続いていただけに、割高感が余計に強い。価格の先行きは不透明で、東北の供給業者や運送業者は不安を募らせている。

<金額指定し給油>
 10月30日昼すぎ、仙台市郊外のガソリンスタンドには車が途切れず入り、従業員が給油に追われていたが、経営会社の統括担当者の表情はさえなかった。
 ガソリン価格が150円を超えてからは満タンなどの量ではなく、1000円分など金額を指定する注文が多くなったという。担当者は「節約志向の表れ。160円台になったら、さらに強まる」と嘆いた。
 資源エネルギー庁が発表した22日時点の東北のガソリン価格は159円10銭。全国平均は14年11月以来の160円台に達した。29日時点の東北の価格は158円80銭で9週ぶりの値下がりとなったが、県別では山形、福島両県で160円を超え、高値は続く。

<16年には110円台>
 東北のガソリン価格は東日本大震災後、たびたび150円台で推移。中東情勢に中国経済の台頭による需要増も加わり、14年7月に169円10銭を記録した。その後、シェールオイルの生産が軌道に乗ると、他の産油国がシェア争いで増産し、値下がり基調に変わった。16年1月には110円台まで下がった。
 17年1月の米トランプ政権誕生後は、状況が一転。在イスラエル米大使館のエルサレム移転やイラン原油の輸入停止要求などに加え、米中貿易摩擦も激化し、値上がり基調となった。
 中長期の価格動向について、石油情報センターの担当者は「先行きは見通せない」と話す。市場関係者によると、サウジアラビアのジャーナリスト殺害など新たな値上がり要因がある一方、世界同時株安で需要不安の観測も生じているという。ニューヨーク市場では株が上がったが、原油は下がり、先安観が出ている。

<灯油も引き上げ>
 価格高騰は既に多くの事業者にダメージを与えている。約30台のトラックを持つ仙台市内の運送会社は6〜9月の4カ月間で、前年より負担が1300万円増えた。社長は「荷主と価格転嫁の交渉をしたが、応じてくれた場合でも反映に時間がかかる。燃費の良い車両に切り替える対策もしたが、その負担も大きい」と話す。
 東北は今月、同じ石油製品の灯油の本格的な需要期に入る。宮城県生協連が設定した今冬の配達灯油の暫定価格は18リットル換算で1746円となり、前年より360円高い。
 同生協連の野崎和夫専務理事は「原油相場が上がっており、暫定価格の引き上げを検討せざるを得ない。節約志向がさらに高まる可能性がある」と明かす。
 景気への影響も懸念される。日銀仙台支店の岡本宜樹支店長は10月の定例記者会見で、東北経済の回復基調を強調した一方、「今後、ガソリン価格の高騰が消費にマイナスの影響を与えないか心配だ」と述べた。


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2018年11月01日木曜日


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