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<ESG投資>東北の地銀、商品続々 「既に類似品」効果疑問視も

 環境保全や社会貢献への取り組みを判断材料にするESG投資の金融商品の取り扱いが、東北の地方銀行でも広がっている。世界各国でESG投資が盛んになる中、社会貢献を重視する企業を相手に融資や私募債引き受けを実施することで、互いの企業価値を高めるのが狙い。一方で「中身は既存商品と変わらない」として、慎重姿勢を見せる銀行もある。

 みちのく銀(青森市)は7月、「ESG型私募債」の引き受けを東北で初めて開始。東邦銀も同月、「ESG/SDGs貢献型融資・応援型私募債」の取り扱いを始めた。
 いずれも「環境に配慮」「社内研修が充実」などの取り組みを認定した企業の資金調達となり、銀行が手数料の金利を0.1〜0.2%引き下げる。みちのく銀の商品は相手企業の従業員の個人ローンなどでも金利を優遇する。
 10月までに、みちのく銀は9社、東邦銀は私募債と融資で計11社に実施した。みちのく銀の担当者は「相手企業は社会貢献などを対外的にアピールでき、銀行にとっても新規取引のきっかけになる」と説明する。
 ESG投資は現在、世界の全投資額の4分の1を占めるとされる。地球温暖化や格差拡大が進み、社会問題に向き合う企業の成長性や持続性を評価する認識が投資家に広がったためだ。後れを取っていた日本の企業は対応を迫られ、東北の金融機関も意識を向け始めた。
 七十七銀は7月、ESG投資を採用した独自の投資信託商品「七十七ESG日本株オープン」を発売。来年1月までの目標だった販売額10億円は3カ月で達成した。運用は投信会社が担うものの、同行は「ESG投資への関心の高さを感じた」(営業開発課)と手応えを語る。
 ただ、環境に配慮する企業向けの「エコ私募債」、社会貢献の「CSR私募債」などは既に多くの地銀が導入済み。手数料の一部を学校や福祉施設への物品寄贈に充てる寄付型私募債と比べ、中身の真新しさは薄い。
 低金利と人口減少で地銀の経営環境が厳しくなり、ESG投資の商品に距離を置く地銀もある。ある地銀の担当者は「どの企業も今は社会貢献活動をしている。ESG投資の認定基準のあいまいな商品が増えれば対外的なメリットは薄れ、単に手数料収入が少なくなるだけだ」と明かした。

[ESG投資]財務状況だけでなく、企業の社会問題や経営規律強化への取り組み姿勢を評価する投資手法。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った。日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用の判断材料にしている。


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2018年11月06日火曜日


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