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<漁業権見直し>東北の漁業者「漁村廃れる」強く反発 「仕方ない」理解の声も

 水産改革関連法案が閣議決定された6日、東北の水産県は約70年ぶりとなる漁業制度の改変を厳しく受け止めた。特に漁業者の減少から養殖業への企業参入を促す漁業権見直しは、長年培った「浜の自治」を揺るがすとして強く反発。法案の全容が浜に十分周知されているとは言えず、漁業者は「性急すぎる」といら立ちを募らせる。
 「漁村の崩壊につながりかねないのではないか」
 綾里漁協(大船渡市)の佐々木靖男組合長は、漁協の優先権廃止をうたう漁業権見直しの行方を危惧する。同漁協はホタテ養殖の数量制限などに取り組むが、指導管理が及ばない企業が参入すれば利益優先で数を増やし、質の低下や単価下落につながりかねない。
 宮城県漁協の松本洋一理事長も「漁業者は地域コミュニティーを基盤として共同で漁場を管理してきた。企業が参入した場合、規律を守った使い方ができるだろうか」と不安視した。
 養殖ホタテの水揚げが全国有数の青森県。平内町漁協の柴田操参事は「組合員は減っているが、若手の後継者は育っている」と説明。「企業は生産性を考える。うまくいかなければ放り投げ、漁業が廃れる可能性がある」と否定的だ。
 石巻市で特産のカキの養殖を営む高橋文生さん(68)は「どれだけ現場の事情を理解した上で議論を進めてきたのか。影響は未知数だ」と指摘した。一方、宮城県漁協かき部会長の須田政吉さん(65)は漁業の先細りを懸念し「国産の水産物を消費者に届け続けるには仕方のないこと」と一定の理解を示した。
 法案に先行し宮城県は2013年、漁業権の優先順位を廃止する水産業復興特区を導入した。提唱した村井嘉浩知事は取材に「達成感がある。(宮城のケースを)政府が成功事例として捉えた。全国的に漁協が面倒を見られない地域には民間が入っていくだろう」との見通しを示した。


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2018年11月07日水曜日


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