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<震災7年8ヵ月>相次ぐ自殺…生活変化の不安、どう対応 危機感強める関係者

 石巻市の仮設住宅で相次いだ自殺とみられる事案は、東日本大震災の被災地で生活再建が必ずしも心の安定に結び付かない現実を浮き彫りにした。震災から7年8カ月がたっても、家族や自宅、古里、仕事など多くを失った被災者の心のケアの重要性に変わりはない。関係者は対策を模索している。
 「一番の原因は寂しさだと思う」。死亡した女性の知人は落胆した表情で語った。女性は積極的だった印象があり、「周囲に支える仲間がいると思っていた」と振り返る。
 女性は津波で自宅が全壊し、仮設住宅で新たな人間関係を構築した。災害公営住宅に転居後も仮設住宅のイベントに顔を出し、仲間と談笑していたという。
 女性にとって仮設住宅には楽しい思い出があったとみられる。ただ、遺書は見つかっておらず、仮設住宅が最期の場所になった理由は分かっていない。
 古里や自宅を失った被災者は避難所から仮設住宅、災害公営住宅へと移り住むなどしている。そのたびにコミュニティーは変わり、時間の経過とともに家族構成も変化する。今回、女性は孫と別々に暮らすようになり、入居する仮設住宅で死亡した男性も母親を亡くしていた。
 市は今年4月に庁内に自死対策推進本部を設置。被災者ケアを含む自死対策計画を策定中だった。市健康推進課の担当者は「生活の変化があったときの情報を早めにキャッチし、保健師や専門職が介入することが必要だ」と危機感を強める。
 市は災害公営住宅の入居1〜2カ月後、全世帯を対象に健康に関する訪問調査を実施している。支援が必要と判断した世帯は地域生活支援員が巡回し、医療機関や地域包括支援センターなどの関係者とも連携して対応している。
 東北学院大地域共生推進機構の本間照雄特任教授(福祉社会学)は「災害公営住宅は単身や2人の世帯が多く、家庭的な環境は弱い傾向がある。社会的な関わりで被災者を支えるためにも、震災で壊れたコミュニティーを早期に再構築する必要がある」と指摘する。


2018年11月10日土曜日


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