宮城のニュース

<杜の都のチャレン人>未来担う子に思いを キリバスの窮状訴える仙台生まれの前名誉領事

キリバス共和国の実情を伝えるパネルの前で、同国の正装である花の冠をかぶって話すオノさん=河北新報社

◎キリバスの窮状訴える ケンタロ・オノさん(41)

 「キリバス共和国は地球の環境問題の最前線に立たされ、存亡の危機にある」。一般社団法人日本キリバス協会代表理事を務め、地球温暖化で水没の危険性がある同国の窮状や温室効果ガスの排出抑制を訴えている。
 キリバスは太平洋に浮かぶ赤道直下のサンゴ礁の島々でできた人口約11万人の小さな島国。海抜は平均2メートルしかない。地球温暖化で海水面が上昇、頻発する高潮で国土の浸食は深刻だ。世界銀行などの予測では、最悪の場合は2050年までに首都タラワの25〜80%が浸水する恐れがあるという。
 小学5年の時にテレビで見た南国の楽園のようなキリバスの美観に心を奪われた。思いは募る一方で、高校1年の夏に同国の名誉総領事館に手紙で留学したい旨を直訴。返事は快諾。高校を中退し、15歳での単身留学となった。「キリバスとの深い縁を感じた。僕の人生の転機だった」と振り返る。
 現地の学校卒業後は開発コンサルティング会社を経営。日本の文化や暮らしの知恵を知っていることと明朗な人柄が認められ、アノテ・トン大統領の私設政策補佐官などの要職を務めた。
 キリバスに永住しようと国籍を取得したが、東日本大震災後の11年11月に仙台に戻った。「震災を機に古里に住む母親や子どもの教育を考えて決断した。その上でキリバスの危機を日本で伝えることが僕の役目だと思った」
 現在は地球温暖化に警鐘を鳴らす出前授業や講演で全国を東奔西走する日々だ。宮城県内では、県やストップ温暖化センターみやぎなどの協力を得て、年間20校以上の学校で授業をしている。
 「自分の経験を生かして、未来を担う子どもたちにメッセージを伝えたい。地球温暖化の原因の大半は人災だ。日本人の一人一人が、愛する国がなくなるというキリバスの現状をわがこととして考え、行動してほしい」(ぬ)

[けんたろ・おの]1977年仙台市生まれ。キリバスの国立キングジョージ5世/エレインバーナッチ校卒。宮城野区在住。前駐日キリバス共和国名誉領事・大使顧問。一般社団法人日本キリバス協会kentaro.ono686@gmail.com


関連ページ: 宮城 社会

2018年11月10日土曜日


先頭に戻る