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<ホップ薫るまちの挑戦>産地存続へ構想実現

浅井隆平(あさい・りゅうへい)1981年、岩手県雫石町生まれ。立教大卒。2003年にキリンビール入社。キリンCSV戦略部絆づくり推進室などを経て18年4月から現職。

 栽培面積日本一のホップを活用したまちづくり「ビールの里構想」に挑む遠野市。核となる組織の一つが、今年2月に設立された農業法人「BEER EXPERIENCE(ビア・エクスペリエンス)」だ。行政や生産者、地元企業と手を携えて構想実現に向けて奔走する副社長浅井隆平さん(37)に聞いた。(聞き手は釜石支局・東野滋)

◎遠野・ビールの里構想/BEER EXPERIENCE副社長 浅井隆平さんに聞く

 −東日本大震災の被災3県で農業の復興を支援するキリンからの出向ですね。
 「本業と社会的課題の解決を両立するCSV(共通価値の創造)の担当として2013年、遠野の若手農家とスペイン野菜パドロンの特産化に取り組みました。その農家がホップ生産に参入し、改めて生産現場の高齢化や担い手不足の深刻な現状を知りました」
 「ホップはキリンの本業に直結する作物です。若手農家の挑戦に並走し、産地存続と地域活性化を目指すことを決意しました。そこで生まれたキャッチフレーズが『ホップの里からビールの里へ』です。構想は15年に始動。既に10人以上のホップ生産者を志す若者が移住してきています」

 −遠野のホップ畑を初めて訪れた時の印象は。
 「緑のカーテンの壮観さに驚き、大切に育てられたホップは地域にとって宝なのだと感動しました。ビールファンを呼び込み、『ビールの魂』と呼ばれるホップを生産者の苦労とともに深く知ってもらうことで、ビールの新たな魅力を伝えられると確信しました」

 −イベント「遠野ホップ収穫祭」が人気です。
 「市民がホップに触れる機会が少ないとの問題意識から企画しました。ビールを楽しむだけでなく、会場でホップの香りを体感してもらい、畑の見学ツアーも実施しています。収穫祭を通じて遠野のホップを誇りに思ってほしいです」

 −クラフトビール市場が拡大しています。
 「キリンは国産ホップのブランド化と産地維持に力を入れており、その象徴として遠野で試験栽培していた新品種『MURAKAMI SEVEN(ムラカミセブン)』の増産を決定しました。この戦略とビールの里構想の時期や方向性が重なったことが、大きな後押しになりました」

 −今後への期待は。
 「地元の企業や飲食店、市民が関わり、ゲストハウス整備やおつまみ開発などのチャレンジが生まれてほしいです。イベントに参加するだけでもいい。ワクワクを共有できる仲間を増やし、構想を前に進めたいと考えています」


関連ページ: 岩手 経済

2018年11月10日土曜日


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